宮城大弥が送る“愛ある喝” 戦力外→独立→燕の中川拓真に「ミスらないようにね」

オリックス・宮城大弥【写真:北野正樹】
オリックス・宮城大弥【写真:北野正樹】

オリックス・宮城、ヤクルトに入団した中川拓真に“愛ある喝”

 NPB復帰を果たした後輩に、愛のある“苦言”を送った。オリックスの宮城大弥投手が、昨オフにオリックスから戦力外通告を受け、独立リーグ・九州アジアリーグに所属する「火の国サラマンダーズ」を経てヤクルトに入団した中川拓真捕手に「今度は、違う人でミスらないようにね」とアドバイスを送った。 

 1学年後輩に当たる中川は2021年6月、大阪・舞洲の球団寮内にある風呂場で宮城に散髪を頼まれた際、バリカンのアタッチメントの付け替えを誤り、9ミリに刈るつもりが0.5ミリにまで短くしてしまった過去がある。

 当時の宮城は長髪で「連勝が止まればカットする」と公言していた。2021年6月2日の阪神戦(甲子園)で連勝が「5」でストップしたが「予約を取るのが遅いので」とカットは先延ばしとなっていた。髪型が注目されている中で、6月11日の試合前の練習に現れた宮城の頭は、ロングヘアから一転し青々とした“丸刈り”になっていたのだった。

 山岡泰輔投手や山本由伸投手(ドジャース)らが、宮城に手を合わせて「神様、仏様、宮城様」とお祈りするシーンなどが話題となり、一躍、全国区の人気者に。また「僕も坊主になります」と謝罪した中川を「そんなことはしなくていいよ」と優しく許したエピソードも、宮城の人気を高めることにつながった。

 宮城は「誰でも許すと思いますよ(笑)。あれはあれで楽しかったですね。先輩のみなさんもいじってくださいましたし、良い思い出になったのかなと思います。僕だけでなく、彼もそうだと思います」と、笑顔で3年前の出来事を思い返す。

 まさかの“失態”を犯した中川は、豊橋中央高から2020年のドラフト5位でオリックス入りした。プロ3年目の昨季途中、左手の有鈎骨を骨折して手術し、1軍試合出場がないままオフに退団。独立リーグの「火の国サラマンダーズ」でプレーを続け、29試合に出場し打率.298、2本塁打を記録、今年7月3日にヤクルト入団が決まった。

 宮城はにこやかな表情で「ヤクルトで活躍してくれれば、散髪を失敗した選手という話題を、また大きく取り上げてくれるんじゃないですか。交流戦などで対戦してみたいですね」。自分が引き立て役に回ってでも、後輩が主役になる日を秘かに願っている。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY