元西武の31歳が1位指名…総額1.7億円で契約 元オリ&西武右腕は2位…台湾ドラフトの話題
MLB20発の張育成が1巡目1位で富邦、元西武の呉念庭が2巡目1位で台鋼に入団
16年ぶりに1軍6球団制が復活、ファン待望の室内球場「台北ドーム」フィーバーもあり、台湾プロ野球(CPBL)は今季、過去最高の観客動員を記録している。今回は大きな話題となったドラフト会議や、プレミア12にむけた話題について紹介する。(情報は7月31日現在)
CPBLのドラフト会議は完全ウェーバー制で、海外のプロ経験のある選手も原則的に参加が義務づけられている。昨年12月、くじ引きによりドラフト前年の順位がない新球団、台鋼ホークスの指名順が2番目に決定。年間最下位の富邦ガーディアンズが1巡目1位の指名権を獲得した。こうした中、昨年12月に西武を電撃退団した31歳の呉念庭内野手が5月27日、CPBLドラフト会議への参加を正式表明。この時点では、富邦の呉念庭の1位指名が有力視されていた。
ところが、今季はレイズ傘下3Aでプレーをしていた張育成内野手が6月18日、ドラフト参加を表明した。28歳の張は遊撃もこなすユーティリティで、メジャーではレギュラー定着こそならなかったが5シーズンで235試合出場、121安打、20本塁打などの通算記録は台湾選手として最高だ。そして迎えた6月28日のドラフト会議で、富邦は張育成、台鋼は呉念庭をそれぞれ1位指名した。
富邦は2巡目で元オリックス、西武の張奕投手を指名した。昨年オフに西武から戦力外となった30歳はNPB12球団合同トライアウトの後、台鋼に練習生として合流。アジアウインターリーグでは胴上げ投手となり、今季も引き続き2軍でプレーしてきた。
CPBLとNPBの大きな違いの1つが、CPBLのドラフト会議は6月末か7月初旬に開催され、指名された選手が契約後、すぐプレーできることだろう。台鋼はドラフト会議の翌日の6月29日に呉念庭と契約を交わした。契約期間は3年半で、出来高込みで総額台湾元3600万元(日本円約1億7000万円)。背番号は父がプロ野球で初めて監督を務めた際の「67」となった。
呉念庭は王柏融、スティーブン・モヤと「「元NPBクリーンアップ」形成
ファンの度肝を抜いたのは、富邦と張育成の大型契約だった。7月11日の会見で、3年半で総額9250万元(同4億3470万円)という契約内容を発表。平均月給は220万元(同1030万円)で、CPBL史上最高額となった。従来の球界トップだった江少慶(富邦)の113万元の2倍近くという額だ。さらに富邦は7月13日、張奕と2年半で総額1314万元(約6140万円)で契約した。背番号は大会ベストナインに輝いた2019年プレミア12でつけた「19」。若手内野手の林岳谷から譲ってもらった張奕は「大谷翔平のように、ポルシェとはいかないけど」と必ずお礼をすると約束した。
台鋼は6月30日に呉念庭を支配下登録。前期最終戦となった7月1日、富邦戦で代打で登場した。約2か月ぶりの実戦でライト前にライナーで運び、CPBL初打席をヒットで飾った。7月5日の後期開幕以降、打順は主に5番で三塁もしくは二塁でスタメン起用され、王柏融、スティーブン・モヤと「元NPBクリーンアップ」を組むことも多い。7月31日まで16試合に出場し、打率.281をマーク。ただ長打は二塁打1本に留まっている。守備では、二塁で出場した8試合で3つのエラーを記録するなど、まだ適応期間という印象だ。
注目の張育成は7月12日、後期本拠開幕戦となった統一戦で「4番・DH」でスタメン出場した。「台湾最強打者」のデビューを見ようと、新荘球場には今季最多の1万522人がつめかけた。3打席目までは無安打も第4打席で左翼線二塁打を放った。7月16日の中信兄弟戦でCPBL第1号を放つと、23日の味全戦では逆方向へ2号、28日の台鋼戦では打った瞬間にそれとわかる3号をレフトスタンドに叩き込んだ。ここまで主に4番に座り、9試合で打率.290、3本塁打、OPS1.055をマークしている。
張奕は7月14日の統一戦で、1点リードの7回にCPBL初登板。3安打を浴び同点とされたが、味方がその裏に逆転して勝利投手となった。17日の中信兄弟戦、27日の台鋼戦と3試合連続失点となったが、28日の台鋼戦では3者凡退に抑えた。本人は先発を希望しているという報道もあり、今後の起用法に注目だ。
(「パ・リーグ インサイト」駒田英)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)