ジャッジに寄せられる“あらぬ批判”「ヤンスタだから…」 データが明かす決定的間違い

ヤンキースのアーロン・ジャッジ【写真:ロイター】
ヤンキースのアーロン・ジャッジ【写真:ロイター】

ジャッジはメジャー断トツ1位の51本塁打、他球場ならさらなる好成績も?

“怪物”の打棒が止まらない。ヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手は25日(日本時間26日)、本拠地・ロッキーズ戦で今季5度目の1試合2本塁打の大暴れ。今季50・51号とし、自身3度目の大台に到達した。歴史的な活躍を続ける一方で、しばしば「ヤンキースタジアムだから打てる」「ジャッジは今日もヤンスタ本塁打」との指摘も。では果たして、ジャッジはヤンキースタジアムだから打てるのだろうか。

 ジャッジは今季ホームで打率.344、OPS1.271とマーク。ビジターの.324、1.139を上回る成績を残している。しかし、本塁打数は26本と25本で大きな差はない。ア・リーグ新記録の62本塁打を樹立した2022年の成績は、ビジターの出場試合数はホームより3試合少ない77試合にも関わらず、32本塁打とヤンキースタジアム以外で多くのアーチをかけている。

 また、高性能カメラやレーダーなどを使ってプレーを解析するMLB公式の「スタットキャスト」によると、ジャッジの凄さがさらに浮かび上がる。「Expected Home Runs by Park」という指標がある。球場ごとの特性を考慮したパークファクターを用いて、各球場のフェンスの高さ、距離、環境を基に、選手が該当する球場でプレーした場合にどれだけの本塁打を打っているかを示している。

 同指標によると、ジャッジの51本はヤンキースタジアムでも51本計算になる一方で、ロイヤルズのカウフマン・スタジアムでは39本、タイガースのコメリカ・パークでは43本と打球によってはスタンドインしていない本塁打もあった。しかし、ドジャースのドジャースタジアムでは55本、レッズのグレートアメリカン・ボールパークでは何と62本と、現時点の本数よりも増えている可能性もあったという。

 加えて本塁打の期待値を示す「xHR」でも、ジャッジはメジャー1位の47.7本をマーク。3本ほど“得”しているとも言えるが、実際の本塁打との乖離ランキングでは全体16位。ちなみにドジャース・大谷翔平投手はナ・リーグ最多の41本塁打を記録しているが、「xHR」は36.9本で、同ランキングでは+4.2本の5位に位置している。

「ヤンキースタジアムだからジャッジは打てる」「違う球場だったらジャッジは本塁打を打てない」「ジャッジの成績はヤンキースタジアムのおかげ」などと一部での批判・揶揄する声はあるが、様々な角度から見ると、ジャッジの好成績に本拠地球場の恩恵はあまりないということが分かる。今季のメジャーは“投高打低”シーズンでありながら、他の追随を許さない圧倒的な打力を披露。残り試合数は少ないが、ジャッジは今後どれだけの記録を打ち立てるのだろうか。

(Full-Count編集部)

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