宗佑磨の“自負”…好守こそ存在意義 3年連続GG賞の胸中…1球に集中「僕の仕事です」

オリックス・宗佑磨【写真:北野正樹】
オリックス・宗佑磨【写真:北野正樹】

オリックス・宗佑磨、好守は「球種など全部を含めて準備をしています」

 数々の超ファインプレーでチームを救ってきた。オリックスの宗佑磨内野手が、大きな仕事をやってのけた。「あれが僕の仕事です。あれがなくなったら終わりでしょ、今の僕なんか……」。自嘲気味に自らのプレーを振り返ったのは、8月18日の日本ハム戦(京セラドーム)だった。

 ビッグプレーが飛び出したのは、4-1で迎えた6回だった。山下舜平大投手を継いでこの回から登板した鈴木博志投手が、不運なヒット2本と適時打で1点を許し、なおも1死一、二塁のピンチ。3番手の吉田輝星投手へスイッチした。

 その初球、万波中正外野手のバットに弾き返され、強烈な打球は三塁へ。宗が果敢にスライディングキャッチし、お尻をグラウンドにつけたまま二塁に送球。ボールは二塁手の西野真弘内野手から一塁のレアンドロ・セデーニョ内野手に渡った。5-4-3のダブルプレーでピンチを断った。
 
 無意識に体が反応した。宗は「(打球の)イメージはしていますが、ボールが飛んできた瞬間は捕ることしか考えていません。結果としてそうなっただけです」と冷静。しかし、類まれな身体能力だけで美技が生まれたわけではない。「どこにボールが飛んできたら、どう動くとか、球種など全部を含めて準備をしています」と、打者の反応なども含め1球ごとの対応を怠らない。

山下舜平大は「投げなければいけない選手ですし、勝たなければいけない投手」

 同点や逆転を許せない理由もあった。先発し、5回1失点で勝ち星の権利を持ってマウンドを降りた山下の379日ぶりの白星を消すわけにはいかなかった。

「初回の先頭打者から、外角低めへのストレートで2者連続の見逃し三振はエグかったです。相手はバットを振らない作戦だったのでしょうが、スピード感や打者の反応をみていても、僕の方がビビりました。チームにとって投げなければいけない選手ですし、勝たなければいけない投手。僕にとっても、あれが僕のいる意義でしょう」
 
 将来のエースの復活を支え、自らのアイデンティティを示すビッグプレー。チームの中心選手としての自覚と、3年連続でパ・リーグの三塁手部門での「ゴールデン・グラブ賞」を獲得した高い守備力を兼ね備えた宗だからこその美技。大阪・舞洲で再昇格を目指して汗を流す。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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