平野佳寿が“激白”する守護神への思い 百戦錬磨の鉄腕「楽しいと思ったことはない」

オリックス・平野佳寿【写真:北野正樹】
オリックス・平野佳寿【写真:北野正樹】

オリックス・平野佳寿、守護神は「チームが勝つところで投げる最後の投手」

 プロだからこそ、実力主義を貫く。史上4人目のNPB通算250セーブまで「1」に迫っているオリックス・平野佳寿投手が、守護神復活に向けて2軍戦でアピールを続けている。「(守護神は)チームが勝つところで投げる最後(の投手)なんで、ただの温情で(1軍に)上げてもらったりすることは良くないと思います」。ビシッと表情を引き締めた。

 平野佳は鳥羽高、京産大から2005年のドラフト希望枠でオリックスに入団。2011年に最優秀中継ぎ投手賞、2014年には最多セーブのタイトルを獲得した。メジャー挑戦(ダイヤモンドバックス、マリナーズ)を経て、2021年に古巣に復帰し、すぐさまリーグ優勝に貢献した。

 2023年5月には史上初の日米通算200セーブ&200ホールドを達成。同年10月には史上4人目の日米通算250セーブを記録し、名球会入りを果たした。今季は岩瀬仁紀投手(407)、高津臣吾投手(286)、佐々木主浩投手(252)に次ぐ日本球界での通算250セーブまで、あと「8」で迎えたが、4月28日の日本ハム戦(エスコンフィールド)で7セーブ目を挙げ「王手」をかけた状態が続いている。

 5月22日に右肘の張りで2度目の出場選手登録抹消後、ファームで調整中。下半身のコンディション不良もあって、2軍戦復帰まで約2か月を要した。ファームでは7試合に登板して防御率1.29。140キロ台後半のストレート、鋭いフォークにスライダーも交え、本来の調子を取り戻しつつある。

 現状について、平野佳は「いつ(1軍から)呼ばれても、投げる準備はできています。そこは2軍の子たちみんなと一緒です」とコンディションも含めて問題はないという。

最終回のマウンドは「勝ち取った投手がいるところじゃないといけない場所」

 記録へのこだわりもない。「取りにいっている訳もないですし(今季に)取れなかったら取れなかっただけなんで。そこは『無理やり』とも思っていません」と明かす。「野球は仕事。楽しいと思ったことはない」と言い切る“仕事師”の平野佳にとって、勝ち試合の最後を託されるマウンドは特別な場所という思いが強い。

「今は、マチャドとかいいピッチングをしていますし、そこに無理やり入れてもらうことは良くないと思います。あそこはやっぱり、勝ち取った(投手がいる)ところじゃないといけない場所なんで。それができなかったらそこまでだと思います」と言い切るのは、長年クローザーを務めてきた自負だ。

「もう歳が歳だし、故障が多くなってきているので、投げられる状態を維持していくのが大事だと思います。『投げろ』と言われたら投げることはできますが、今、上でみんな頑張っていますしいいピッチャーもたくさんいます。そこに僕も割って入らないとダメなんで、競争です。今の上の子たちに負けていない、と思わせる投球をしないと」。40歳、プロ19年目のベテランが目を輝かせ、1軍復帰の日を待つ。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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