成長著しい左腕の“心意気” 曽谷龍平が誓う切磋琢磨…「余裕ぶっこいている場合じゃない」

オリックス・曽谷龍平【写真:北野正樹】
オリックス・曽谷龍平【写真:北野正樹】

オリックス・曽谷龍平、仲間の成長に「余裕ぶっこいている場合じゃない」

 良き“ライバル”の活躍が、飽くなき向上心に火をつける。オリックス・曽谷龍平投手が同年代の投手陣が台頭したことを刺激に受け、自己研鑽を励んでいる。「彼らも頑張っていますし、自分も余裕をぶっこいている場合じゃないと思います」。4学年下の齋藤響介投手、1学年下の佐藤一磨投手が連続してプロ初勝利を挙げるなど、若手投手の躍動を自分のことのように喜び、刺激を受けている。

 曽谷は奈良県斑鳩町出身。明桜高(秋田)、白鴎大から2022年のドラフト1位でオリックスに入団。1年目の昨季は好投するもプロの壁にはね返され、10試合目の登板となったレギュラーシーズン最終戦のソフトバンク戦(10月9日、京セラドーム)で初勝利を掴んだ。

 プロ2年目の今季は、抜群の安定感を誇る。昨季と同じ登板10試合時点では5勝3敗、防御率2.29の投球を見せていた。交流戦期間中の6月11日阪神戦からは、4週連続して火曜日のカード頭を任された。「(昨季)最終戦の初勝利で自信をつけたのでしょう。一皮も二皮もむけた感じがします。元々、速かったストレートに強さが出てきました」と、昨年の秋季キャンプで今季の躍進を見抜いていた厚澤和幸投手コーチの期待を上回る働きぶりだ。

 首脳陣が評価するのが、勝ち星以上に試合の入り方だ。今季、登板した最初の10試合のうち初回の失点は4月7日のロッテ戦(ZOZOマリン)、5月18日の楽天戦(京セラドーム)の2試合のみ。残る8試合のうち、5試合は打者3人で抑え、走者を許していない。「立ち上がりが非常に安定していますので、カード頭で使いやすいですね。右、左の打者に関係なく投げられるのも強みで、ありがたい存在です」と厚澤コーチは絶大の信頼を寄せる。

東に教わった“内角の極意”…「そんな考え方もあるのか」

 曽谷は、2年目の飛躍理由に、降板後のベンチで悔し涙を流した昨季の経験を挙げる。「1軍と2軍を行ったり来たりして、いろんな経験ができました。(マウンドで)やってはいけないこと、良いことがわかるようになりました」。東晃平投手の助言も、曽谷を大きくしてくれた。自身の開幕戦となった4月7日のロッテ戦(ZOZOマリン)。初回に援護をもらいながら、その裏に同点を許し、1点リードの4回には先頭打者から3連打を浴びて逆転され、4回途中71球6安打4失点で降板した。

 東から強気に内角を攻めるイメージを求めると「もし当ててしまったら、ごめんなさいと謝るくらいの気持ちで投げればいいんだよ」。技術面のアドバイスでない、あまりにシンプルな言葉に「そんな考え方もあるのか」と思い切って腕を振れるようになった。

 向上心の塊だ。「良い感覚を忘れたくないので調子の良い時にこそ、より練習をします」。練習が休みの日でも、宮城大弥投手や山下舜平大投手、佐藤一磨投手、椋木蓮投手らと大阪・舞洲の球団施設で汗を流す。今季ここまで17試合に登板して6勝9敗ながらも、防御率2.13を誇る。頼れる左腕に成長。同年代の活躍を頼もしく見つめながら、自身も充実の色を感じている。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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