阿部監督が寄せる信頼…巨人Vのキーマンは19歳? 専門家が指摘した「いい意味の慣れ」

DeNA戦に出場した巨人・浅野翔吾【写真:加治屋友輝】
DeNA戦に出場した巨人・浅野翔吾【写真:加治屋友輝】

4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏が分析

■巨人 6ー0 DeNA(19日・東京ドーム)

 セ・リーグ首位の巨人は19日、本拠地・東京ドームで行われたDeNA戦に6-0で快勝。4年ぶりのリーグ優勝へ、マジックを「8」に減らした。プロ2年目・19歳の浅野翔吾外野手が、今月4日のヤクルト戦以来12試合ぶりに「2番」でスタメン出場し、攻守で存在感を放った。

「初回無死二塁のチャンスで、おそらく送りバントだろうと思って見ていたら、阿部(慎之助)監督はヒッティングを命じた。浅野はそれに応えて、しっかり四球で繋いだ。1軍の試合に出場することに、いい意味で慣れ、焦りなどが少しずつ消えてきて、選球眼に表われてきていると思います」。こう指摘するのは、現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏だ。

「無死一塁であれば、送りバントだったかもしれない。走者が二塁にいたことで、巨人ベンチとしては、浅野に送らせて1死三塁から2人で点を取ろうとするのか、無死二塁から3人のうちの誰かが返すのかの判断を迫られたと思います」と解説した上で、「そこで打たせるかどうかの判断は、それまでに選手がいいアピールをできていたかどうかにかかっています。浅野は“できていた”ということでしょう」と評した。

 巨人はこの回、浅野の四球で無死一、二塁とチャンスを広げた後、相手のエラーもあって無死一、三塁とし、吉川尚輝内野手が先制右越え適時二塁打。さらに敵失、大城卓三捕手の左犠飛で、この回一挙3点を奪い、試合の流れをがっちりつかんだ。

 浅野が送りバントを予想される場面で打って出たシーンは、「5番・右翼」で出場した前日(18日)の同カードにもあった。1-2とリードされて迎えた8回の土壇場。無死一塁で打席に立った浅野は、それまでの3打席にいずれも凡退していただけに、当然送りバントのサインが出るかと思いきや、1度もバントの構えをしないまま、カウント2-2に。相手のJB・ウェンデルケン投手のチェンジアップを叩きつけると、高いバウンドで三塁手の頭上を越え、左前打となった。巨人はこの回同点に追いつき、最終的に延長12回の末引き分けて、優勝へのマジック「9」が点灯したのだった。

5回先頭で一転しセーフティーバントを決め、守っても美技

 野口氏は「打順が下位へ向かう前日の状況と、この日の状況を一括りにはできないと思います」と指摘するが、浅野の打撃への信頼が高まっていることは間違いなさそうだ。

 浅野は2回の右翼での守備でも、DeNA・宮崎敏郎内野手が放った右中間への痛烈な飛球をジャンピングキャッチ。捕球後に倒れ込んだほど、ギリギリのプレーで、これには先発の戸郷翔征投手が脱帽して感謝を意を示した。5回先頭の第3打席では、一転して初球をセーフティーバントして三塁線へ転がし、技ありのヒットで出塁して見せた。

「もともとバットを強く振れることが魅力の選手です。体の強さも感じます。頑丈そうだし、スピードもバネもあって、いいですよね」と野口氏は目を細める。

 浅野が2番に当てはめられた背景には、前日2番に入っていたベテラン・坂本勇人内野手の打撃が振るわない事情もある。20日からはマツダスタジアム、甲子園を転戦し、優勝を争う広島、阪神を相手に敵地4連戦が控えている巨人。19歳の成長株が優勝を決めるキーマンになるかもしれない。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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