阿部巨人が混セを抜け出した“根拠” 専門家が称賛…リーグ最少失点を支える「55」

巨人・阿部慎之助監督【写真:矢口亨】
巨人・阿部慎之助監督【写真:矢口亨】

約2.5試合に1失策「二塁手の吉川はほぼ間違いがない」

■巨人 12ー4 DeNA(26日・横浜)

 就任1年目の阿部慎之助監督率いる巨人は26日、敵地・横浜スタジアムでDeNAに12-4と大勝。今季残り4試合で、4年ぶりのリーグ優勝へのマジックを「3」とした。最後まで予断は許さないが、史上稀に見る大混戦から巨人がここまで抜け出すことができた要因は何か──。

「巨人の今季の強みはディフェンスだと思います。菅野(智之投手)、戸郷(翔征投手)、(フォスター・)グリフィン(投手)を中心に投手陣が安定していますし、エラーの数はリーグで断トツに少ないですから」。こう指摘するのは、現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏だ。

 確かに、巨人の今季チーム失策数は139試合を消化してリーグ最少の「55」(26日現在、以下同)。約2.5試合に1失策の割合だ。2番目に少ない広島、ヤクルトの「65」と差があり、最も多いDeNAに至っては90失策に上っている。巨人の守備率.990もリーグトップである。

「二塁の吉川(尚輝内野手)の守備はほぼ間違いがないですし、範囲も広い。遊撃には門脇(誠内野手)が入っても、泉口(友汰内野手)が入っても上手い。三塁の坂本(勇人内野手)も基本的には守備のいい選手です。一塁の岡本(和真内野手)も派手さはありませんが、堅実です」と野口氏は指摘する。

 唯一の不安は、大城卓三捕手が一塁に就き、岡本が三塁に回るケースだが、これは阿部監督も折り込み済み。今月15日の中日戦では「5番・一塁」でスタメン出場した大城に守備のミスがあったが、指揮官が叱責したのは、直後の打席で1度もスイングせずに見送り三振に倒れた消極性の方だった。野口氏も「唯一人、エラーを許容されているのが大城」と見ている。他の内野手で十分カバーできる──ということだろう。

3試合で1得点の“貧打”も守備力でカバー

 外野の守備もしかり。26日のDeNA戦では初回無死一塁で、牧秀悟内野手に中前打されたが、中堅手としてスタメン出場していたオコエ瑠偉外野手が、三塁を狙った一塁走者・梶原昂希外野手を絶妙のノーバウンド送球で刺した。また19歳の浅野翔吾外野手は、経験不足ゆえの拙守がある一方、躍動感あふれる美技も見せる。ゴールデン・グラブ賞7回の丸佳浩外野手の守備も安定感抜群だ。

 巨人のチーム総失点が、両リーグを通じて最少の「372」にとどまっている背景には、こうした守備の堅さがある。今月22日の阪神戦から25日のDeNA戦まで、3試合でわずか1得点に終わるなど、シーズン中にたびたび“貧打”に陥るも、ここまで優勝に近づけた要因と言えそうだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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