西川龍馬が古田島成龍に求める“変化” FA戦士と新人右腕をつなぐ「同期の絆」
オリックス・西川龍馬、古田島成龍の登場曲に「変えろって言ってるんですよ」
同期の絆は深い。学校や職場などと同様に、プロ野球界でも同期入団の選手は年齢や経歴を問わず仲が良く、結束力が強い。昨オフ、国内FA権を行使して広島からオリックスに移籍した西川龍馬外野手も、オリックスに2023年のドラフトで入団した選手たちを“同期”として一緒に汗をかいている。
「同じ時期に入った仲間ですからね。それはうれしいですよ」。8月8日の西武戦(京セラドーム)の試合前に行われた在阪メディアの「優秀選手賞」を古田島成龍投手が受賞した際、ベンチ前に整列して見守った選手の中で、最も喜びを体で表現したのが西川だった。ただ1人、両手を突き上げた理由を尋ねた時の答えが、それだった。
今季で30歳。打率3割以上を何度も記録したプロ9年目の西川に対して、古田島は日本通運を経てドラフト6位で入団した新人投手。それでも、西川にとってはオリックス1年目の同期なのだ。「あいつとは結構、ご飯も行くんです。いいキャラしています」と目を細める。ファンの間で、本拠地のサヨナラ試合でお互いに追いかけ回して水をかけるシーンがSNS上で話題になった。
7月10日のソフトバンク戦(京セラドーム)で9回無死満塁から頓宮裕真捕手の右犠飛でサヨナラ勝ちした際は、本塁付近で自らペットボトルの飲料水を頭からかぶって喜びを爆発させる古田島の背後から忍び寄り、背中からユニホームの中に水を流し込んだ。一方、紅林弘太郎内野手のサヨナラ適時打が飛び出した8月15日の楽天戦では、古田島が仕返しをするかのように逃げる西川を一塁ベンチ前で追い回す場面もあった。
そんな仲のよい“同期”だが、西川が気に入らないのは、古田島の「登場曲」だという。古田島の選曲はテレビの時代劇「水戸黄門」の主題歌で「人生、楽ありゃ、苦もあるさ」で始まる「あゝ人生に涙あり」。茨城県出身で、常に前向きな歌詞が古田島の生き様と重なると同時に、スタンドのファンに与えるインパクトも考えての選曲だった。
「変えろって言ってるんですよ、いつも。もっとおもろい曲にしろよ……って」。
守りのミスで首脳陣から厳しい指摘を受けた紅林の登場曲を、忘れることも大事だとして「酒と泪と男と女」への変更を促したこともある西川。同期のさらなる躍進を願い、サプライズでの変更があるかもしれない。
○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)