前半戦とは“別人”、清宮幸太郎が覚醒したワケ 「.133→.366」…見せた衝撃の変化
外角変化球に対する今季前半戦打率は.133→後半戦は.366に向上
日本ハムの清宮幸太郎内野手は7年目の今季、春季キャンプ直前に左足を捻挫した影響で出遅れ。4月途中に1軍合流したものの精彩を欠き、5月から6月にかけて2軍生活が続いた。転機となったのは7月中旬にアリエル・マルティネス捕手からもらったアドバイスのようだ。前半戦最後の2試合で計7安打2本塁打をマークし、その後も勢いを維持。後半戦は打率.335、9本塁打をマークしている。今回は打率と長打それぞれにつながる、2つの変化を紹介する。(数字はすべて2024年9月23日終了時点)
プルヒッターの清宮は外角球を苦手としており、過去の外角打率は最も高いシーズンで.224だった。投手は基本的に外角を中心に組み立てるため、投球の約半数は外角に投じられる。外角球を打てないことが低打率の主な原因となっていた。今季も前半戦は傾向が変わらず、外の変化球に対して打率.133だったが、後半戦に入ると、.366に向上。ストレートを含めた外角打率も.318と好成績をマークしている。
なぜ外の変化球をヒットにできるようになったのだろうか。打球方向を見ると、前半戦は全体の6割近くをライトへ引っ張っていたものが、後半戦はレフト方向への打球が増えている。打球性質の割合も大きく変化しており、ゴロ打球の割合が低下し、ライナーとフライの割合が上昇している。これまでは外の変化球を引っかけてゴロにすることが多かったが、コースに逆らわないバッティングをすることで安打になりやすいライナーとフライの打球を打てるようになった。
長打が増えている要因は主にストレート打撃成績の向上にある。前半戦は1本だった本塁打が後半戦は5本。長打力を表す指標ISOも、前半戦から大きく上昇している。変化球のISOは.188から.184と逆に低下しており、長打増加につながっているのはストレートに対する結果であるといえる。
ストレートを捉えた打球については、長打につながる割合の変化は見られなかった。変わったのはフライ打球の質そのものだ。HR/FBはフライ打球に占める本塁打の割合を表しており、ISOと同じく長打力の指標として用いられる。後半戦はストレートに対するHR/FBが前半戦の5.6%から約2.5倍の14.3%になっている。後半戦はストレートを以前より強く遠くに飛ばせるようになったといえるだろう。
現在の清宮は外の変化球を逆方向に飛ばすようになった一方で、速球への対応力を損なうことなく、リーグ屈指の強さを発揮。打率と長打という2つの要素を両立させている。プロ入りからの6年間は才能の一端をところどころでのぞかせながら好成績を残せずにいたが、後半戦の躍進からは本格ブレークの予感が漂っている。7球団競合の大器が完成する日はもう間もなくだ。
(「パ・リーグ インサイト」データスタジアム編集部)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)