リーグ2冠もシビアな目 大谷翔平に問われる7億ドルの真価「10月に打たないと」
17分の前日会見、初のポストシーズンへ「楽しみだなという方が今は大きいです」
ドジャースの大谷翔平投手は5日(日本時間6日)からパドレスとの地区シリーズ(5回戦制)に臨む。大谷にとってはメジャー7年目で初のポストシーズンとなるが、4日(同5日)に本拠地・ドジャースタジアムで行われた前日会見では、強心臓ぶりを見せつけた。
「初のポストシーズン。緊張してますか?」と問われた時だった。隣にいたアイアトン通訳が訳す前に食い気味に「Nope!」と回答した。「Nope」とは「No」のスラング。約30人の席がビッシリ埋まった会見場は笑いに包まれ、大谷もニヤリと笑った。
「小さい頃から練習してきてますし、そういう舞台でプレーしたいという思いでやってきたので。そこが一番楽しみだなという方が今は大きいです」
前回の短期決戦とは大きな違いだ。昨年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の開幕前日に行われた会見。世界一への初陣で、大谷は栗山英樹監督から国際大会で初めてリアル二刀流を託されていた。
「1番最初の試合は高鳴り、緊張はあると思います。明日ももちろんあると思います。こういう大きい舞台で初戦を任されることに対して責任感を持っている。自分自身、楽しみたいと思っているので、その準備をしていきたい」
1年7か月前に発した「楽しみたい」は、どこか緊張感を感じされるものだった。ところが今回はどうだ。7年目で初めてのポストシーズン。この日は「(他の選手から)『初めてなんだ』といじられることはありました」と2発目の笑いを誘う場面もあれば、レギュラーシーズン最終戦からの野球以外の過ごし方を問われ、「いつもよりゆっくりめに起きて。美味しいご飯を食べて、庭で遊んでって感じでした」とプライベートを明かす場面もあった。
大一番を前に周囲の笑いも誘う“余裕”。「(緊張感は)投手の時と野手の時では違います」と以前に話したことがあったが、これが打者一本とリアル二刀流の違いなのか。ただ、それ以上に確かな自信のようなものを感じさせる17分の会見だった。
米メディアの“本音”…「10月の大事なところで打たないと意味がない」
シーズン終盤は得点圏打率9割超をマーク。なぜ、大谷は勝負強いのか――。米メディア関係者も興味津々で、地区シリーズ第1戦の先発投手、山本由伸に大谷のリーダーシップに問う場面があった。回答はこうだった。
「WBCの時もすごくリーダーシップもあって、チームをとにかく引っ張って皆が行けるぞって気持ちにしてくれたのが翔平さんだと思いますし、すごくチームを引っ張ってもらったのは覚えてます」
シーズン序盤は得点圏で打てなかった。当時、勝負弱さを指摘していた米メディアの本音は「10月のポストシーズンで打てば全く問題ない。10月の大事なところで打たないと意味がない」だった。シーズン終盤のようにチャンスで打てるか。ドジャースのワールドシリーズ制覇が宿命づけられた7億ドル(当時1014億円)男の真価が、いよいよ問われる。
(小谷真弥 / Masaya Kotani)