10月の大谷翔平を「エ軍で見れれば楽しかった」 古巣記者が本音「負けまくると疲れる」
エンゼルス番のジェフ・フレッチャー記者が地区シリーズを取材
初めて10月を戦う大谷翔平投手を、複雑な気持ちで見守った。11日(日本時間12日)のパドレスとの地区シリーズ第5戦の試合後、大谷はシャンパンファイトで好投した山本由伸投手のインタビューに乱入するなど大興奮だった。このシリーズでは、長年エンゼルスを取材してきた「オレンジカウンティ・レジスター」のジェフ・フレッチャー記者も手伝いでドジャースタジアムを訪れていた。
「オオタニがプレーオフの雰囲気を味わいながらプレーできたことはいいことだと思いました。長いこと野球ファンはそれを望んでいましたから」
5日(同6日)の地区シリーズ第1戦ではチーム初アーチとなる豪快な一発。その後はダルビッシュ有投手相手に苦しむなど、シリーズ通じては打率.200、1本塁打4打点に終わったが、ベンチで怒りの雄叫びを上げるなど、感情的な姿が見られた。
フレッチャー記者は大谷が加入した2018年以前からエンゼルスをカバー。密着取材記録である「SHO-TIME 大谷翔平 メジャー120年の歴史を変えた男」を出版するなど、大谷を1年目から見てきた。しかし、その間エンゼルスは一度もシーズン勝ち越しできず。大谷のプレーオフ出場を見ることはなかった。
フレッチャー記者も本音を言えば、エンゼルスでプレーオフに出場する大谷の姿を見たかった。「エンゼルスで見れれば、楽しかったはずです。オオタニが彼らとプレーオフに出場できれば、いい景色の変化になっていたと思います」。大谷が移籍した今年、エンゼルスは球団記録を更新する99敗を喫した。「実際にエンゼルスが負けまくると、少し疲れてしまいます」と苦笑いする。
エンゼルスはオフシーズンに入り、フレッチャー記者は地区シリーズはドジャースタジアム開催試合を全てカバーした。感情むき出しでプレーするかつてのエンゼルスのスターに「オオタニが解決できない問題が多くあったので、ここに来なければいけなかったのです」と理解する。
大谷がエンゼルスを愛していたことも、勝つことを渇望していたことも両方知っているからこそ、気持ちは複雑。ただ、大谷がプレーオフ出場は野球の発展、盛り上がりのためにも不可欠。「長いこと野球ファンはそれを望んでいましたから」と自分を納得させるように話した。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)