安達了一を「首脳陣は外せなかった」　同期入団の小島脩平コーチが見てきた“凄み”

オリックス・小島脩平コーチ、同期入団の安達の現役引退に秘めた思い

　同期入団だからこそわかることがある。オリックスの小島脩平・内野守備走塁コーチは、今季限りでの現役引退を決めた安達了一内野手兼任コーチの功績を称えるとともに、次代を担う選手の育成を誓った。「同期入団で最後までプレーしていた選手なので、もっと長くやってもらいたかったですね」。残念そうに声を絞り出した。

　小島コーチは桐生第一高、東洋大、住金鹿島から2011年ドラフト7位でオリックスに入団。二塁や三塁、外野をこなし、俊足巧打で長打力もありチャンスに強い存在感のある選手だった。同年のドラフト1位が安達（榛名高、上武大、東芝）。内野手としてはライバルだったが、同学年で、同じ群馬県出身とあって幼なじみのような存在でもあった。

　小島コーチは、現役時代から安達を高く評価していた。「捕って投げるのはもちろんうまいのですが、細かいプレーが素晴らしいんです。カバーリングや投手への声掛けはもちろんのこと、守備位置にも目を配り外野手にも指示を送るんです。レギュラー選手の中心的存在ですね。だから安達という選手を首脳陣は外せなかったんです」。同期入団で切磋琢磨した現役生活が誇らしかった。

　安達は引退決断のきっかけに、今季の1イニング3失策を挙げた。しかし、小島は「安達が捕れなかったら、誰も捕れないと思わせる選手です。今まで、どれだけ守備でチームを救ってきたか、そう思いますね」という。小島コーチは2020年に現役引退後、2軍で若手選手を指導している中で、安達の存在の大きさを改めて知らされるという。

「なかなか、あそこまでできる選手はいないんです。野球は本塁打が“王道”ですが、バントもうまい。ああいう選手がいて、いいチームができていくんです」。選手の肩書が取れた安達と、二人三脚の日々を願う。

○北野正樹（きたの・まさき）大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

（北野正樹 / Masaki Kitano）