プレミア12で侍Jと同組の台湾　高まる警戒、主力選手を解説…“精鋭チア”も参戦

海外
2024.10.19

プレミア12の台湾代表…張育成は出場を辞退

　台湾野球界で、プレーオフ、台湾シリーズと共に注目されているのが、11月上旬から開催される国際大会「WBSCプレミア12」だ。台湾は今回、日本、韓国、キューバ、ドミニカ共和国、オーストラリアと共に、オープニングラウンドでプールBに入った。プールBは、開幕戦のオーストラリア対日本（バンテリンドーム）を除き、台湾・台北市の2球場（台北ドーム、天母球場）で開催される。

　7日、台湾プロ野球（CPBL）は台湾代表28人を発表した。前回の2019年大会は、アメリカ、日本などでプレーする「海外組」は8人を数えたが、今回は28人中「海外組」は米マイナーリーグでプレーする選手3人のみ。残り25人が台湾プロ野球の選手となった。

　メジャー40人枠入り選手は出場できないことに加え、不振やコンディション不良による辞退組もあり、2023年WBC代表は8人に留まった一方、将来を見据え、主要国際大会では初選出となる選手も10人に達した。

　台湾代表監督をつとめる楽天モンキーズ2軍監督の曽豪駒監督は記者会見で、選出基準として、「出場意志」、「コンディション」、「データ」と、3つのポイントを挙げた。そして、打線の特徴として「パワーヒッターは少ないが、バットコントロールが良く、足のある打者が多い」と評した。

　招集できなかった選手で最も残念だったのは誰かと問われた曽豪駒監督は、張育成（富邦）の名を挙げた。張育成は、昨年のWBCでは、1次ラウンドプールAで、2本塁打、8打点と大活躍しMVPを受賞、一塁手のベストナインにも輝いた。今季、CPBLのドラフト会議で富邦ガーディアンズから1位で指名されると47試合で10本塁打の活躍、プレミア12では4番が期待されていたが、左手の指を挫傷し、満足にスイングできない状態であるとして、辞退していた。

期待の「ダブルエース」の存在

　さらにWBC代表のセットアッパー、曽峻岳（富邦）が肩の違和感を理由に辞退。最速158キロ、直球、変化球と共に高いレベルを誇るアジア選手権代表の若きエース、徐若熙（味全）がトミー・ジョン手術明けのフルシーズンということで大事をとって辞退したほか、日米球界でプレーする選手についても、球団側からの球数制限や、疲労蓄積によるコンディション面の不安などから、複数の選手の招集を見送る形となった。

　注目選手をピックアップすると、投手では昨年11月のアジアプロ野球チャンピオンシップ（東京ドーム）日本戦で、7回途中1失点と好投し、今季は防御率1.66でトップ、10勝（リーグ3位タイ）と完全にリーグを代表する投手に成長した古林睿煬（統一）、そしてダイヤモンドバックスのプロスペクトで、9月に3Aまで昇格した21歳の左腕、リン・ユーミンが「ダブルエース」といえる。

　陳冠宇（楽天モンキーズ）と、怪我が癒え球速が戻った張奕（富邦）の元NPBコンビは、日本戦での登板を期待している。また、22歳の潘文輝（フィリーズ2A）は最速161キロを誇る剛腕だ。

　一方、野手で主砲として期待されるのが、今季リーグ2位の23本塁打をマークした味全の吉力吉撈．鞏冠（ギリギラオ・コンクアン）だ。インディアンス（現・ガーディアンズ）傘下時代の2019年から台湾原住民族パイワン族の名を名乗るパワーヒッターで、一昨年、昨年の台湾プロ野球の本塁打王だ。また、台湾球界を代表する好打者で、今季は脳震盪の影響に苦しみながらも首位打者に輝いた林立（楽天）、日本人コーチが軒並みNPB1軍クラスの守備と評価する正ショートの江坤宇（中信兄弟）、今季の最多安打、小柄なヒットメーカー邱智呈（統一）にも注目だ。岡山県共生高校出身、国際大会常連、シュアな打撃が持ち味の陳傑憲（統一）は今大会もキャプテンに就任。チームの精神的支柱だ。