FA加入→まさかの育成も「耐える」 野球に“惚れた”梶谷隆幸…厳しい境遇で届いた言葉

引退会見に出席した巨人・梶谷隆幸【写真:松本洸】
引退会見に出席した巨人・梶谷隆幸【写真:松本洸】

DeNA、巨人で18年間プレーした梶谷隆幸が引退会見を開いた

 巨人・梶谷隆幸外野手が23日、東京都内で引退会見を行った。2020年オフに国内フリーエージェント(FA)権を行使してDeNAから巨人に加入したが、手術の影響でFA選手としては異例の育成契約も経験した。それでも当時の梶谷はポジティブな言葉を発信。この日の引退会見でも「野球に惚れた」などとキャリアを支えた“野球愛”を存分に語った。

 4年契約で巨人に入団した梶谷は1年目は故障もあって61試合の出場にとどまり、2022年は左膝半月板の手術を受けて1軍出場ゼロ。同年オフに育成契約へと切り替わった。FA選手としては異例の育成契約だった。

「耐えて頑張ります!」

 手術の影響とはいえ、大型契約で入っただけにプライドは傷ついたに違いない。しかし、当時の梶谷は前を向いていた。

「まぁやるのは野球なんで変わらないですよ!」。ポジティブな言葉が印象深かった。

 会見で野球の魅力を問われると「野球……なんか、惚れた感覚に理由ってあんまりないなって思っていて。ただ単にやっていて楽しいですし、野球に魅了されて、ずっと野球をやり続けて今日まで来ました。とにかく野球に出会えて幸せだったなと思います」と笑顔で語った。育成契約でも前向きな言葉が出てきた“理由”が見えた気がした。

 育成契約後、2023年の開幕前に支配下登録となり、102試合で打率.275を記録。そして4年目の今季は阪神との開幕戦に「3番・右翼」で先発出場。守備では超美技でピンチを凌ぎ、打っては2ランで阿部監督の初勝利に貢献した。契約最終年に存在感を示したが、その後は怪我に泣き、結局は6試合の出場に終わった。

 キャリア終盤は辛い経験が多かったが、「好きな野球で悩めているのは幸せだなと思いますし。自分らしく必死に頑張ってきたので。本当にやり切った思いでいるので、幸せだなと思います。(後悔は)ほとんどないなと思います。やり切りました」。清々しい表情を見せた。18年間、大好きな野球と向き合ってきた36歳が、プロ野球との“別れ”を決断した。

(湯浅大 / Dai Yuasa)

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