清原正吾を「ピエロにしたくない」 なぜ指名漏れ…指導した元プロが語る3つの要因
中学、高校で野球から離れながら慶大の4番に定着した成長度
24日に都内で行われた「プロ野球ドラフト会議 supportedbyリポビタンD」で、慶大の清原正吾内野手は指名漏れとなった。NPB通算525本塁打を誇る清原和博氏の長男。話題性十分の上、計り知れない可能性を秘めた“清原ジュニア”の名が呼ばれなかったのはなぜか――。現役時代に中日、巨人、西武で強打の捕手として活躍し、慶大の外部コーチとして清原を4年間指導してきた中尾孝義氏が語る。
中学時代はバレーボール部、高校時代はアメリカンフットボール部に所属した清原。小学生時代に軟式でプレーして以来6年間のブランクを経て、慶大進学後に初めて本格的に硬式野球に取り組んだ。それでいて、今年の東京六大学春季リーグからは4番に定着。打撃面の成長ぶりは著しい。
それでも指名されなかった要因について、まず中尾氏は「まず、ファーストしか守れないこと。足は結構速く、外野守備に挑戦したこともありましたが、後ろへの打球への対応がうまくなかったですから」と指摘する。言うまでもなく、プロでファーストは打線の主軸を担う選手が守ることが多く、外国人選手があてられるケースも多い。余程の強打者でなければ、レギュラーの座を獲得できないポジションである。
さらに打撃面に対しても「ホームランを打てるパワーはありますが、現時点では、切れのある内角の速球への対応、ストライクからボールになる変化球の見極めに課題がある」と言う。
中尾氏には現役引退後、2008年から16年まで9年間、阪神のスカウトを務めた経験もある。「清原には技術的にまだまだ伸びる可能性があると思いますが、スカウトの目から見た場合、アマチュアで実績を残した他の選手に比べると、その可能性が高いとは評価されなかったのだと思います。話題性は十分ですが、だからこそ、各球団は清原を“ピエロ”にはしたくないと考えたと思います」と3つ目の要因を推察する。
社会人野球に進めば最短2年後に指名対象、独立リーグなら来年指名の可能性も
ドラフトで指名されなかった清原がどんな進路を選択するのかは、現時点で不明。中尾氏は「特に打撃には、技術的にまだまだ伸びしろがあると思います。もし本人にやる気があるなら、来年以降、独立リーグや社会人のクラブチームなどで可能性を探るのも、ひとつの道でしょう」と指摘する。「本人が夢を捨てきれないなら、やるべきだとも思います。若い時にしかできないことですから」と背中を押す。企業チームを含め、社会人野球に進んだ場合、次にドラフトの対象になるのは最短で2年後。独立リーグに所属する場合は、来年の指名も可能になる。
中尾氏は「清原は現時点で、身長は高い(186センチ)けれど、もっと体幹を鍛え、スイングスピードを上げる余地があります」と“強化ポイント”を挙げた。清原の夢はまだまだ続くのだろうか……。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)