日ハム指揮官の燦然と輝く快挙 元中日監督は唯一の3ポジション、41歳の受賞も…GG賞の“No.1”

ルーキーイヤーにして初受賞の松坂大輔氏【写真提供:三井広報委員会】
ルーキーイヤーにして初受賞の松坂大輔氏【写真提供:三井広報委員会】

福本豊氏は最多の12年連続12度受賞、松坂大輔氏は高卒1年目に選出

 NPB歴代1位の1065盗塁をマークした福本豊氏(阪急)は、外野守備の名手としても知られる。1972年に創設されたダイヤモンドグラブ賞(現三井ゴールデン・グラブ賞)を歴代最多の12度受賞(12年連続)している。今回はゴールデン・グラブ賞にまつわるさまざまな歴代No.1などを紹介する。

 今年で53回目を迎えるゴールデン・グラブ賞。福本氏は初年度から12年連続で受賞した。そんな福本氏のグラブが野球殿堂博物館に収蔵されている。現在、外野手が使用しているグラブよりも若干重さがあるというが、ダブルトンボのウェブは現在でもよく見られる仕様。「Braves 福本」の白糸の刺繍もキリッとした印象だ。

 福本氏が愛用していたミズノの「Lite Flexシリーズ」は現在廃盤になり、福本氏のグラブを手がけていたミズノのグラブ職人・坪田信義さんも2022年に逝去。現在、このグラブは野球殿堂博物館で常設展示ではないものの、今後福本氏に関連する展示が行われる際には披露される可能性があるという。

 最年少受賞記録は、当時19歳1か月だった1999年の松坂大輔氏(西武)。高卒1年目で最多勝、ベストナイン、新人王と合わせて受賞した。“平成の怪物”はフィールディングも超一流だった。基本は打球を体の前でさばくこと。投手が打球に触れたことで前に落ちればいいが、弾かれたボールは軌道が変わり、内野手が捕りづらくなる可能性もある。ライナー性の打球は怪我の恐れもあって投手の守備への貢献は難しい。それでも松坂氏は初受賞の同年、25登板で10刺殺、29捕殺、失策0を記録した。

 野球殿堂博物館収蔵の写真のグラブはピッチング用や試合用ではなく、守備練習の際に用いられていた“専用グラブ”。松坂氏は「投手も9人目の野手」であることを強く意識していた。特徴はコンパクトなサイズ。トレーニンググラブは小さめにつくられるが、松坂氏と他選手のグラブを見比べると一目瞭然だ。

立浪和義氏は3ポジションで栄誉、ハム新庄監督は両リーグで計10度受賞

 松坂氏の現役当時、投手用グラブは球種の握りを隠すために大きく作ることが一般的だった。松坂氏が守備にも最大限対応できる小さめのグラブをオーダーしたことで、プロ選手や全国の野球少年に大きな影響を与えた。

 セ・リーグの最年少記録は立浪和義氏(中日)で19歳2か月。1年目の1988年に受賞した。遊撃手として高卒1年目から華々しいデビューを飾ったが、遊撃での受賞はこれが最初で最後。1995~97年は二塁手、2003年には三塁手で受賞している。3つの異なるポジションでの受賞は立浪氏のみだ。最年少記録があれば、最年長記録もある。パ・リーグでは2012年に稲葉篤紀氏(日本ハム)40歳2か月で受賞。セでは同年に宮本慎也氏(ヤクルト)が41歳11か月で選出された。

 満票受賞者はセ・パ合わせても10人。パ・リーグの5人は1972年の大橋穣氏(阪急ブレーブス)、1974年の有藤通世氏(ロッテ)、1976~1979年の福本氏、1979年の梨田昌崇氏(近鉄)、1990年の秋山幸二氏(西武)となっている。両リーグで受賞歴がある選手は9人で、最多は日本ハム・新庄剛志監督だ。阪神で7度(1993~1994年、1996〜2000年)、日本ハムで3度(2004〜2006年)と計10度受賞している。

「第53回三井ゴールデン・グラブ賞」は11月12日に発表、11月28日に表彰式が行われる。今年は誰が受賞するだろうか。

(「パ・リーグ インサイト」海老原悠)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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