大谷翔平の「早期復帰はリスク大」 第3戦出場報道も…肩の専門医が語る“危険性”

二塁上で苦悶の表情を浮かべるドジャース・大谷翔平【写真:Getty Images】
二塁上で苦悶の表情を浮かべるドジャース・大谷翔平【写真:Getty Images】

東京北医療センター整形外科・肩関節センター長の望月智之医師の見解

【MLB】ドジャース 4ー2 ヤンキース(日本時間27日・ロサンゼルス)

 ドジャース・大谷翔平投手は26日(日本時間27日)のワールドシリーズ第2戦で左肩を負傷した。試合後にデーブ・ロバーツ監督は「亜脱臼したようだ」と説明した。東京北医療センター整形外科・肩関節センター長の望月智之医師は27日、Full-Countの取材に応じ、亜脱臼ではなく脱臼の可能性も指摘。その上で「一般論」として「ワールドシリーズでの早期復帰はリスクが大きい」との見解を示した。

 大谷は7回1死走者なしでの第4打席で四球で出塁後、二盗を試みた。結果はアウトとなり、その際にスライディングで手をついた際に左肩を痛めたとみられる。中島陽介トレーナーに付き添われながら、ベンチへ戻る際の様子に望月医師は着目した。

「塁上での痛がり方、ベンチに帰ってくる時にトレーナーが左腕を支えていたことから、この時点では肩は脱臼しているので、診断は亜脱臼ではなく脱臼が正しいと思います」と説明。「大谷選手のように筋肉隆々な選手は徒手整復は難しいこともあるので、病院で麻酔をして整復した可能性も高いと推測します」と述べた。

 整復すると痛みは軽減し、肩をある程度動かすことは可能になるが「1度脱臼すると、関節唇が損傷して関節内に出血を起こすので、早期に復帰をすると軽い外力でも再脱臼するリスクがあります」と指摘した。それだけに「一般的には2〜3週間、装具で腕を固定します。そうしないと肩に緩みを残すことになります。脱臼は初回脱臼の治療が大事で、それをおろそかにすると反復性肩関節脱臼となります」。初回の処置の重要性を説いた。

 その上で「一般的にはワールドシリーズでの早期復帰はリスクが大きいと思います」。固定期間が不足すると「肩の緩さという後遺症を残す可能性が極めて高いからです。最低でも1週間は固定したいところです」と早期復帰のリスクを述べた。

初回脱臼における固定が重要「ドジャースがどのような決断を下すか」

 仮に十分な固定を行わずに強行出場した場合「肩の緩みを残すことになります。そして、痛みのためにフルスイングが出来ないため、大谷選手本来のパフォーマンスを出せないと思います」。また、盗塁に関してもスライディングの際に左手を突く恐れもあるため「再脱臼のリスクがあるため回避したいところです」と語った。

 チームは連勝し、26日(同27日)の移動日を挟んで、28日(同29日)からニューヨークのヤンキースタジアムで第3戦を行う。米記者によれば、大谷はロサンゼルスで検査を受けてからチームとは別に移動する形になるという。望月医師は「飛行機での移動は可能ですが、気圧が低いと受傷部位が腫れる可能性が高いため、受傷直後の飛行機での長期移動は避けたいところです」と飛行機移動のリスクも解説した。

「肩関節脱臼は初回脱臼における固定がとても大事です。ドジャースがどのような決断を下すかになってくると思います」

 大谷の強行出場は、今後のことを考えた上で一般論としては、リスクが大きいとの見解だった。

(湯浅大 / Dai Yuasa)

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