巨人23歳が再会に感謝「笑ったのは久しぶり」 2年ぶりの時間…生まれた“思い出”

合同練習会に参加した巨人・門脇誠(右)と松前敦喜さん【写真:宮脇広久】
合同練習会に参加した巨人・門脇誠(右)と松前敦喜さん【写真:宮脇広久】

「甲子園夢プロジェクト」との合同練習会に矢野コーチ、浅野、横川と共に参加

 巨人は23日、知的障がいを持つ球児たちへ硬式野球に取り組む場を提供する「甲子園夢プロジェクト」との合同練習会を川崎市のジャイアンツ球場で開催した。矢野謙次2軍打撃チーフコーチ、門脇誠内野手、浅野翔吾外野手、横川凱投手も参加。特に門脇には思いがけない“再会”があった。

 この日は全国の特別支援学校や養護学校に通いながら野球に取り組む中高校生、卒業生ら27人が参加した。しかし、彼らは当初「ジャイアンツアカデミーのコーチから指導を受ける」としか知らされていなかった。ウォーミングアップ、キャッチボールを終えた後、“サプライズ”が発表される。巨人の現役コーチと現役選手が、左翼ポール付近から登場したのだ。

 特に、門脇の姿にひと際「門脇選手! すごい! ヤバい!」と興奮したのが、神奈川県立中原養護学校卒業の21歳、松前敦喜さんだった。確かに、門脇がプロ1年目の昨年に着用した背番号「35」のユニホームを着ている(現在の背番号は「5」)。

 実は、松前さんは2年前に門脇と交流を持っている。東京・創価高校が開催した練習会に参加した際、当時創価大4年で巨人にドラフト4位指名された直後の門脇から指導を受けていたのだ。松前さんの父・利明さんは「敦喜はもともと巨人ファンで、坂本(勇人内野手)選手のファンでしたが、プロ入り前にお世話になった門脇選手が、その巨人に入って1年目から大活躍したので、門脇選手を熱烈に応援するようになりました」と説明する。

 松前さんは養護学校を卒業後、川崎市内の老人ホームで介護の仕事に就き、そのかたわら障がい者野球チーム「東京ジャイアンツ」でプレーしている。この日は門脇が巨人の背番号「5」を着ているのを見て、自身も持参した「5」のユニホームに着替えるこだわりようだった。利明さんは「自分で稼いだお金で門脇選手の物を中心に、ユニホーム、タオル、キーホルダーなどのグッズを買い揃えています。門脇選手の存在は敦喜にとって、野球のみならず人生のモチベーションになっていると思います」と感謝を口にした。

「お腹がちぎれるくらい笑かしてくれた選手もいましたね」

 これを聞いた門脇は「2年前にもいた子は、他にも何人かいました。自分のユニホームを着てくれていましたし、うれしいです」と感慨深げだった。

 球児たちは内野手、外野手、投手に分かれ、それぞれ門脇、浅野、横川から直接指導を受けた。さらに代わるがわるバットを持ち、ティー打撃にも取り組んだ。さらにその後、“2つ目のサプライズ”として、巨人が運営する「読売ジャイアンツ女子チーム」が登場。球児たちは矢野コーチの指揮の下で、3イニングの試合を行ったのだった。

 試合では球児たち側に、巨人の各選手の応援歌を口ずさみながら投球するピッチャーが現れるなど、終始明るいムードに包まれていた。門脇は「お腹がちぎれるくらい笑かしてくれた選手もいましたね。こんなに笑ったのは久しぶり。みんなと純粋に野球を楽しめたことが一番よかったです」とうなずいた。障がいを持つ球児たちにも、現役プロ選手にも、双方に貴重な思い出が生まれた。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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