山岡泰輔の“復活”に首脳陣も期待 願う50試合…助っ人リリーバーに「頼ることないように」
山岡泰輔に厚澤コーチが寄せる期待「50試合、投げてほしいんです」
経験値と熱い心でピンチを絶つ。オリックス・山岡泰輔投手が、来季はリリーフに専念し、チームの勝利に貢献することになった。「(体内の)エンジンは変えられませんが、経験を重ねることでそこにうまさが加わっています。その技術で左右(の打者)に関係なく1イニングを任せたいと思っています。山岡に50試合、投げてほしいんです」。秋季キャンプの行われている高知市の東部運動公園で、厚澤和幸投手コーチが、静かに口を開いた。
山岡は瀬戸内高、東京ガスから2016年ドラフト1位でオリックスに入団。172センチ、68キロの小さな体を弓のようにしならせるダイナミックなフォームから、縦のスライダーを武器に打者を翻弄し、2019年には13勝4敗で最高勝率のタイトルに輝いた。
その後はコンディション不良などから思うような活躍はできず、プロ8年目の今季も終盤の6試合登板にとどまり、プロ入り初めて未勝利に終わってしまった。「チームのためなら」と、意気に感じて投げるタイプ。打者との駆け引きなどでみせる頭脳的な投球で、なんでもこなせる器用さも持ち合わせている。これまでもチーム事情でリリーフに起用されることもあったが、先発と中継ぎという難しい役目をこなしてみせた。
その蓄積された経験と培われた技術、チームを思う心意気を厚澤コーチが買ったのだった。「先発投手の枚数と、勝ちパターンで投げることのできるリリーフを増やすことが投手コーチの責任です。山岡を先発に、という考えもありますが(抑えに)ペルドモやマチャドに全部を頼ることのないようにしたいのです」と投手起用の舞台裏を説明する。
岸田監督、山岡は「何でもできてしまう選手なので」
今季、15年目の山田修義投手とドラフト6位の新人・古田島成龍投手(日本通運)、日本ハムからトレードで獲得した吉田輝星投手が各50試合に登板。中日から現役ドラフトで移籍した鈴木博志投手、日本ハムを戦力外となり育成選手として入団した井口和朋投手が各32試合と、充実したリリーフ陣を誇った。
故障で活躍できなかった宇田川優希投手や山崎颯一郎投手、小木田敦也投手らの復活も期待できるが、終盤のピンチを切り抜け勝ちパターンに持ち込むためには、さらなる充実が求められるというわけだ。
厚澤コーチは「(山岡)泰輔は、今年は何もできませんでした。そういう年で終わってしまったので、来年、勝負ができるんだという目標を作ってあげたかったのです。それが一番の理由です」と、リリーフでの起用理由を明かした。
2軍と1軍で投手コーチを務めた岸田護新監督は、山岡について「何でもできてしまう選手なので、そういう迷いがなく1つのことに集中してやってくれれば、もっとパフォーマンスが発揮できると思います」と期待を寄せる。
山岡は「(1軍は)6試合でしたが、ファームでの生活や若い選手らとの接し方など、こういう年でないと経験できないことがたくさんありました」と今季を振り返り、「目標を決めてもらった方がやりやすい」と首脳陣の判断を歓迎。新しい役目で9年目のシーズンに復活を期す。
○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)