福田周平が明かした背番号“返納”の理由 「値しない」…来季“逆襲”に選んだ「65」

オリックス・福田周平【写真:北野正樹】
オリックス・福田周平【写真:北野正樹】

オリックス・福田周平、来季は背番号「65」に変更

 実直に野球と向き合う。オリックス・福田周平外野手が、自ら望んで付けた背番号「1」を返上し、来季は「65」でプロ8年目のシーズンに臨む。「思うような成績を残すことができず、この背番号を付けるに値しないと感じ、福良(淳一)GMに返上したいと伝えました」。真っすぐな性格そのままに、福田が一気に思いを吐き出した。

 入団4年目の2021年、働き場所を求めて外野手に転向。107試合に出場し打率.275で中堅の定位置をつかみ、「4」から「1」への変更を福良GMに直接申し出て、継承した。「1」になって初年度の2022年には118試合に出場しゴールデン・グラブ賞を受賞したが、2023年はノックの打球を顔に当て鼻を骨を骨折するなど大きな怪我もあり、自己ワーストの36試合出場に。復活をかけた今季も怪我で長期離脱を余儀なくされ、69試合で打率.232にとどまってしまった。

「今シーズン終了後に思ったことです。別に何番を付けてもいいと思うのですが、福良さんにお願いしてもらった番号でもあり、そこからあんまりいい成績を残せていなかったというのがあるんで、返したという感じです」

 福良GMは現役時代、堅守、俊足、巧打の内野手。通算打率.279、50本塁打、372打点、106盗塁で2度ベストナインに輝いた。福田には、理想とする「1」にふさわしい自分を取り戻すためにも、新しい番号でリスタートする思いが強かったようだ。

「試合に出られるために、どこでも守れるようにしているだけです」

 コロナ禍前、最新のトレーニング方法を習得するため渡米するなど、コンディション作りに関心を持ってきた。怪我で長期離脱した2023年には、怪我をしにくいトレーニングなどに取り組んできた。それだけに、2年連続の怪我での離脱に自責の念が強い。今季は6月6日のDeNA戦(横浜)で右後脛骨筋腱炎の怪我を負った。2-0の8回1死でタイラー・オースティン内野手が右中間への大飛球をジャンプして捕球しようとする際、左肩をフェンスにぶつけ、着地後に倒れこんだ。

 積極果敢なプレーによる負傷に見えたが「僕は防げる怪我だと思っています。フェンスに激突したのが問題じゃないんです。着地の問題です。変な着地の仕方をしてしまって」と説明する。さらに「原因があるから怪我をしているんです。あのケースで(捕球するのは)無理だったと思います。飛びつく必要はなかったんです。(フェンスからの)クッションを待てばよかったんです」と反省を口にし「本能で飛びついてしまったことが許せないのです」と明かす。瞬時の判断ではあるが、外野手として沈着冷静に対応できなかったことを責める。

 2軍の試合では、二塁守備にも就いた。9月の阪神戦(高知・安芸)では、外野に抜けようかという打球を好捕し、バックハンドトスやグラブトスで併殺を完成させるなど、華麗なプレーを見せた。「僕が二塁を守りたいと言って守れるんなら、いつでも守ります。でも決めるのは首脳陣です。試合に出られるために、どこでも守れるようにしているだけです」。厳しく自分と向き合い、さらに技術を磨く。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY