右腕切断の佐野慈紀さん、病床から駆け付けピッカリ投法披露 学童大会で左腕始球式
左腕からワンバウンド投球…感染症悪化で今後手術の可能性も
かつて近鉄などでプレーし、糖尿病の影響による感染症で右腕を切断した佐野慈紀さんが21日、神宮球場で行われた少年野球「くら寿司トーナメント2024 ポップアスリートカップ」の開会式に出席。左投げで始球式を行った。
2022年から同大会のシニアディレクターを務める佐野さんはキャップをかぶりマウンド手前に。左手を高く上げキャップを落としてから投球し、「ピッカリ投法」を復活させた。
投球はワンバウンドとなり、「マイナス10点ですね」と自己評価。「少しでも元気を伝えられているのであれば嬉しい限りです。グラウンドに立つと気持ちが大きく変わりますね」と語った。
56歳の佐野さんは近鉄、中日、オリックスで通算353試合に登板し、41勝31敗27セーブを挙げた。2023年に重症下肢虚血を発症し右足中指を切断。心臓弁膜症も患った。糖尿病による感染症の悪化で今年4月に右腕を切断した。
自身のブログによると、腰の感染症で入院生活を送っており、この日は外出許可を得ての参加。新たに感染症が見つかり、今後再度手術を受ける可能性があるという。
それでも「いちいち落ち込んでいられない。これがきっかけで左でもっと投げられるようになったら。もう一度野球教室をやりたい」「ライフワークとして学童野球の子と接する活動をしたい。何年もかけて全国を回りたい思いはあります」と前を向いた。