阪神は「最低でもAクラス」 藤川新監督がもたらす“変化”、先発陣は「枠からはみ出すほど」

阪神・下村海翔、才木浩人、高橋遥人(左から)【写真:小林靖】
阪神・下村海翔、才木浩人、高橋遥人(左から)【写真:小林靖】

阪神、日本ハムなど4球団で活躍した野球評論家の野口寿浩氏

 阪神は2024年限りで岡田彰布前監督が退任し、44歳の藤川球児監督が就任。コーチ陣も大幅な配置転換が行われた。現役時代に阪神、日本ハムなど4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏は、3年ぶりにチームに復帰する金村暁1軍投手コーチに注目する。

 金村コーチは2016年から7年間も阪神1軍投手コーチを務めた。最終年の2022年には、湯浅京己投手、浜地真澄投手(現DeNA)ら若手を成長させ、チーム防御率を両リーグを通じてトップの2.67に引き下げたが、当時の矢野燿大監督の辞任に伴い、同年限りで退団した。

「金村コーチは、投手陣に過度の連投をさせず、マウンドに上げる時には100%のパフォーマンスを発揮できる状態にします。各投手に無理をさせないためにも、新戦力を見出し、多めの選択肢を監督に用意する。そのへんの手腕をまた見られるのが楽しみ。一本筋が通っていて、必要なら監督にもモノ申せる男です」

 実は野口氏は1998年、日本ハム現役投手時代の金村コーチとバッテリーを組み、最優秀防御率のタイトル獲得をアシストしている。

 2024年の阪神は、打線がリーグ5位のチーム打率.242と苦しんだ一方で、投手陣はリーグ2位のチーム防御率2.50をマークした。新監督の下でも、投手陣には不安よりも楽しみの方が多い。「高橋遥人がいよいよ全開になるでしょう。13勝した才木(浩人)もエースの自覚を持って安定感を増すと思いますし、村上(頌樹)にも不安はない。4勝5敗に終わった伊藤将司も、復活しないと先がなくなるので、しっかりやると思います」と見ている。

「基本的に岩崎か、ゲラか、どちらがクローザーか決めると思う」

 29歳の高橋は2022年にトミー・ジョン手術、翌23年にも左肩のクリーニング手術を受けて育成契約となったが、24年7月に支配下登録されると、8月以降に1軍で5試合に先発し、4勝1敗、防御率1.52と実力を発揮した。先発候補には他にも、大竹耕太郎投手、西勇輝投手、ジェレミー・ビーズリー投手らがいて、枠からはみ出すほどだ。

 2023年ドラフト1位で入団し、即戦力として期待されながら、いきなり4月にトミー・ジョン手術を受けることになり、1軍登板なしに終わった下村海翔投手も、巻き返しを狙う。「決して無理はさせないでしょうが、肘さえ良くなれば戦力になる投手です。藤川監督としては、シーズン後半に出てきてくれれば……という感じでしょう。投手陣の頭数は足りているので、慌てる必要がないことも強みです」と野口氏は言う。2024年ドラフト1位ルーキーの左腕・伊原陵人投手(NTT西日本)も「先発かリリーフかは、わかりませんが」、戦力になりそうだ。

 リリーフ陣は2024年、岩崎優投手(23セーブ)とハビー・ゲラ投手(14セーブ)のダブルストッパーでシーズンを乗り切ったが、「(2025年は)基本的に、どちらがクローザーで、どちらがセットアッパーかを、はっきり決めると思います。藤川監督自身が現役時代にセットアッパーやクローザーを任された投手ですから、金村コーチや安藤(優也投手チーフ)コーチと話し合いながら、しっかり管理し、うまく回していくでしょう。投手の運用に不安はないと思います」と予想する。

 藤川監督1年目を「最低でもAクラスには入ってくるでしょうし、優勝争いをする可能性も十分あります」と高く評価する野口氏。順調に滑り出すことができるか。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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