現役ドラフトで獲得した“お宝” 大ブレークの24歳捕手も…躍動の24年ハム野手陣
清宮幸太郎は開幕2軍スタートも…夏場以降で大暴れ
日本ハムは2024年、75勝60敗8分、勝率.556で2位と大躍進を遂げた。ここでは野手の活躍ぶりに注目する。
今季はチーム打率.245(リーグ3位)、本塁打数111(2位)、得点数532(2位)と、昨季(打率.231、100本塁打、464得点)を上回る好成績。課題であった守備は75失策と、昨季(94失策)に比べて減少したものの、リーグ5位と改善の余地が見られる結果に。一方、盗塁数はリーグトップとなる「91」で、足を絡めた攻撃で得点につなげる場面も多く見られるシーズンとなった。
大きく貢献した選手の一人が清宮幸太郎内野手だ。89試合で打率.300、3年連続2桁となる15本塁打を記録し、存在感を放った。春季キャンプ直前の怪我により、開幕は2軍スタート。4月19日に登録されるも、打撃不振で5月6日に抹消となり、2軍で調整を行った。しかし、6月11日に再昇格すると、7月の月間打率.383をマーク。8月は4番を任されることも多く、7本塁打を放つなど中軸としての役割を果たした。
特にチーム内の競争が激しかったのが捕手だった。そのなかで、24歳の田宮裕涼捕手は自身初の開幕スタメンマスクを任され、2安打1打点をマーク。4月は月間打率.353を記録、守備面でも「ゆあビーム」と称される強肩を披露するなど好スタートを切り、オールスターにも選出された。後半は打撃で伸び悩み出場機会も減ったが、結果的には109試合に出場し、打率.277に30打点といずれもキャリアハイの成績を残した。
後半戦でスタメンマスクをかぶることが多かった34歳の伏見寅威捕手。特に山崎福也投手が先発の試合はバッテリーを組むことがほとんどだった。若手の台頭もあり、中盤にファームでの調整期間もあったが、シーズンを通してチームに貢献。「パーソル クライマックスシリーズ パ」のファイナルステージ第3戦で今季第1号を放つ意地を見せるなど、ベテランとしてチームを鼓舞する場面も多くあった。
郡司裕也捕手は、プロ5年目にして初の規定打席に到達した。113安打12本塁打は昨季までを大きく上回るキャリアハイの成績。今季は三塁手としての出場がほとんどだったが、ユーティリティ性を発揮し自らの居場所を確立。本職の捕手としての出場は6試合にとどまったが、9月28日のソフトバンク戦では、3回までに2度も盗塁を阻止するなど、与えられたポジションで着実な活躍を見せた。
ベストナイン助っ人は来季も残留決定
昨季大ブレークを果たした万波中正外野手は、チームの主軸として今季も攻守で存在感を放ち、チーム最多の136試合に出場した。7月は月間打率1割台に落ち込みながらも、4本塁打をマーク。さらには持ち味の強肩でチームのピンチを救う場面も多く、2年連続の三井ゴールデン・グラブ賞を受賞した。
松本剛外野手は6月に体調不良で登録抹消となったものの、万波に次ぐ127試合に出場し、今季も若手主体のチームを支えた。チームトップの20盗塁をマークしたものの、打率.236、1本塁打、19打点と物足りない数字に終わった。
昨季の現役ドラフトで日本ハムに移籍してきた23歳の水谷瞬外野手は、4月11日にプロ初出場、初スタメンを果たすと、同試合で初安打、初打点を記録。交流戦で15試合連続安打、歴代最高打率.438と猛打を振るい、交流戦首位打者で同MVPに輝いた。97試合に出場し、打率.287、9本塁打、39打点と飛躍の1年になった。
チームトップの25本塁打をマークしたのは、来日1年目のフランミル・レイエス外野手。月間打率.403、8本塁打、23打点を記録した8月に「大樹生命月間MVP賞」を獲得するなどシーズン後半に打撃が爆発。8月2日から9月4日にかけて、球団記録を更新する25試合連続安打を放つなど、指名打者部門でベストナインを受賞している。
2年連続最下位から大躍進を果たした2024シーズン。田宮や水谷ら若手の活躍が光り、伏見ら中堅・ベテランの意地も見えた。新庄監督の続投が決定している2025シーズンは、今季以上の成績を残せるか注目したい。
(「パ・リーグ インサイト」薗田陽和)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)