イチローに抱かれていた「疑問」 同僚が明かす米挑戦時の“厳しい視線”「日本で偉大だろうが」
「ESPN」が同僚や対戦相手の証言を紹介
メジャーリーグ通算3089安打を記録し、米野球殿堂入りが決まったイチロー氏(マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)に、今となってはその実績に異論を唱える者は少ない。だが、メジャーに挑戦した当初は“日本ではエルヴィス・プレスリー以上の存在”と伝えられても、その実力をチームメートでさえも疑っていた。
米スポーツ局「ESPN」のオールデン・ゴンザレス記者とジェシー・ロジャースは21日(日本時間22日)に「イチローが殿堂入りする理由」と題し、チームメートや対戦相手による証言を取り上げた記事を公開。この中で、マリナーズでの初期のキャリアで同僚だったジョン・オルルド氏の声を紹介した。
オルルド氏は2000年から2004年途中まで一塁手としてマリナーズでプレーし、メジャー通算255本塁打を放った強打者だ。自身がメッツでプレーした頃の監督で、日本でもロッテを指揮したボビー・バレンタイン氏から、イチロー氏について「その選手は本当に素晴らしくて、メジャーリーグでもプレーできるだろう」と聞いていたという。
ただ、当時は日本人メジャーリーガーは投手しか前例がなく、日本で7年連続首位打者を達成してメジャーに乗り込んだイチロー氏でさえも、本当に活躍できるのか懐疑的な見方は多かった。オルルド氏は「イチローはメジャーリーグに来た最初の日本人野手だったから、彼らが(日本人の野手)がここで成功できるのかどうかは誰も分からなかった」と、当時の評価を振り返る。
オルルド氏は、バレンタイン氏の右腕として知られたトム・ロブソン氏に尋ねたところ「イチローは日本ではエルヴィス以上の存在だ」と回答があったという。それでも「日本でどれほど偉大だろうが、野手がこっち(メジャーリーグ)で本当に通用するかどうかという疑問は残っていた」と証言した。
メジャー1年目からのイチロー氏の快進撃は、今では広く知られている。2001年には242安打を放って首位打者、盗塁王、MVP、新人王を獲得。その後も2004年の年間262安打や、2010年までの10年連続200安打などの世界記録を打ち立てた。
(Full-Count編集部)