期待むなしく補欠校…届かなかった33年ぶり選抜 “師弟コンビ”が描く甲子園帰還

会見を行った東農大二・青木一将監督【写真:宮脇広久】
会見を行った東農大二・青木一将監督【写真:宮脇広久】

昨秋の関東大会準々決勝で優勝した横浜に0-2と大善戦していた

 第97回選抜高校野球大会(3月18日開幕=甲子園球場)の出場32校を決める選考委員会が24日に行われ、昨秋関東大会8強の東農大二(群馬)は落選した。1992年以来33年ぶりの選抜出場にあと一歩届かず、補欠校となった。選手として甲子園出場経験のある青木一将監督、当時監督だった加藤秀隆校長の“師弟コンビ”は、夏に照準を移す。

「選考の対象になるところまで頑張ってくれた選手たちに、感謝しています。残念ですが、これで夏へ向けて、より気持ちを1つにしていけるのではないかと思います」。青木監督はこう言って表情を引き締めた。

 今回の選考で関東の出場枠は当初から「5」と見られていた。昨秋の関東大会で準決勝に進出した4校は“当確”。残る1枠を、準々決勝で敗退した4校で争った格好だ。準々決勝で優勝した横浜(神奈川)に0-2と惜敗した東農大二の実力は高く評価されていたが、準々決勝で千葉黎明に2-5で敗れた山梨学院の後塵を拝した。

 関東大会では、東農大二と同じ群馬県の健大高崎が準優勝して選抜出場を確実にしていたのに対し、山梨県勢で8強入りしたのは山梨学院だけ。そういった巡り合わせが地域バランス上、東農大二に不利に働いたのかもしれない。

 過去に春3回、夏5回甲子園出場している東農大二だが、今のところ2009年の夏が最後。この時は初戦の2回戦で青森山田に2-1と競り勝ち、3回戦では立正大淞南(島根)に2-4で敗れた。当時「1番・中堅」だったのが青木監督、監督として指揮を執っていたのは、現校長の加藤秀隆氏だ。師弟ともに立場を変えての“聖地帰還”の夢は、実現にあと一歩と迫りながら、はかなく消えた。

「速い球に振り負けないことをテーマに練習しています」

 加藤校長は「青木は選手としても素晴らしかったけれど、監督としてディフェンス力の高い、いいチームをつくってくれました。振り返ってみると、2009年のチームも守りのチームでした。地味ですが、いいんじゃないですかね。金属バットの規定が低反発になったこともあって、守りのいいチームが勝てると思います」と目を細め、「関東大会で負けて選ばれるより、夏に勝ち切って甲子園に行った方がいいですよ」と気持ちを切り替えた。

 一方、青木監督は仙台大を卒業後、すぐ母校に戻ってコーチを務め、2023年4月に監督就任。「確かに、守備からリズムをつくるのが東農大二伝統の野球です」とうなずく。エースの山田琉聖投手(2年)はプロも注目する最速143キロ右腕で、控えの変則左腕・蛭川敬介投手(2年)も成長著しい。横浜との昨秋関東大会準々決勝では、山田が7回7奪三振2失点と好投したが、打線が最速151キロを誇る1年生右腕・織田翔希投手に2安打完封されている。

 勝負を懸ける夏の群馬大会では、ドラフト1位候補の最速158キロ右腕・石垣元気投手(2年)を擁する健大高崎が、最も高い壁になりそうである。青木監督は「打撃力がウチの課題であることは明らか。石垣くんだけでなく、群馬にはいい投手がたくさんいますし、ウチは昨秋の関東大会で横浜の織田くんに抑えられてから、速い球に振り負けないことをテーマに練習しています」と語り、既に動き出している。剛腕を攻略し、今度こそ甲子園への切符を手にできるか。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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