打率.188…筒香が受け止める“現実”「申し訳ない」 元日も練習…「怖くて」振り続けたバット
昨季途中に古巣復帰…6年ぶり日本キャンプ「何がいいかずっと考えている」
6年ぶりの日本でのキャンプインが間近に迫ってきた。「状態はいいかな。うん、すごくいいよ」。DeNA・筒香嘉智外野手の声が弾む。沖縄県内で行っている自主トレは大詰めを迎えている。
2020年からメジャーに挑戦。自主トレ中にチームが決まっていないことや、決まっていても新たな環境への不安が少なからずあった。「どんな施設か、どんな人がいるかもわからなかった。やはりしんどさは昨年、一昨年は特にあったから。それが(日本に)帰ってきて、ある程度予測できる。やりやすいのはありますね」。野球と向き合うことは変わらないが、久々の腰を据えてのトレーニングに充実感がにじむ。
昨年のソフトバンクとの日本シリーズで掴んだ打撃の感覚をなくなさないために、日本一となった翌々日からトレーニングを再開した。「この感覚が、なくならないと思うけど、なくなるのが怖くて」と元日もバットを振った。休んだのは1月2日だけ。沖縄自主トレではライブBPも行い、感覚を研ぎ澄ませた。
「戻そうとしているわけではないんだけど、心も体もよかった時の感覚の軸に似ているものがあるなって」と手応えを口にするが、慢心はない。米国のキャンプと違い、日本は約1か月間の長丁場だ。「キャンプが終わったときにこういう状態にありたいとか、そこは久しぶりに帰ってきてわからないから。何がいいんだろうっていうのはずっと考えてる」と明かす。
開幕までに40~60打席視野…早期の実戦出場に意欲
“最善”のために、早期の実戦出場も見据える。開幕までに40~60打席を目指し「日本のキャンプが久しぶりだから、早めに出て『あ、今こんな感じか』って、1回掴んだらそこから修正しやすい。出るのが遅くなると詰まってしまうのが嫌なので」。懐かしい時間軸を思い出しながら、試行錯誤を続けていく。
昨季途中、5年ぶりにチームに復帰した。勝負強い打撃とリーダーシップで日本シリーズを制したチームを牽引したが、成績でいえば57試合で打率.188、7本塁打、23打点。故障もあり、後半戦はベンチを温める日々が続いた。
そんな現実を「スタメンで使いたいって思わせる選手じゃなかったのは事実だから、それは自分が悪い。日本シリーズで感覚を掴んだけど、最後の最後までかかってしまった。それは申し訳ないなと思う」と真っ向から受け止める。そしてもちろん、今年もその座に甘んじるつもりはない。
筒香のバットに、ファンは大きな夢を乗せる。“本来の力”を発揮すれば、悲願のリーグ優勝が近づくことは疑いようがない。「やってみないとどうなるかはわからないけど、でも感覚はいいよ」。そう繰り返した筒香の表情は、かつてないほどの自信に満ちていた。
(町田利衣 / Rie Machida)