専門家が期待する2人のロマン砲「使いたくなる」 貧打解消へ…西武打線の“切り札”
![キャンプで練習を行う西武・渡部聖弥【写真:小林靖】](https://full-count.jp/wp-content/uploads/2025/02/09102646/20250209_watanabe_ky.jpg)
野口寿浩氏「プレーボールでホームラン打者が出てくるのを相手は嫌がる」
西武が昨年、シーズン91敗を喫して最下位に沈んだ要因は、リーグワーストのチーム打率.212、チーム本塁打60本に終わった貧打にある。主力が相次ぎFAで他球団へ流出し、見る影もなくなった“山賊打線”に、復活の目はあるのか。現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で捕手として21年間活躍した野球評論家・野口寿浩氏が8日、宮崎・南郷キャンプを視察した。
野口氏が何よりも楽しみにしていたのが、新人で唯一、西武のA班(1軍)キャンプに参加しているドラフト2位・渡部聖弥外野手(大商大)の存在だ。「飛ばす力は今年の新人の中でも、広島1位の佐々木(泰内野手=青学大)らと並んでピカイチ。僕は1位指名されると思っていました」。
渡部聖はこの日、室内練習場でフリー打撃行った。「バットを強く振れるところが大きな魅力。体の強さ、芯の強さがあります。プロの水に慣れてくれば、かなり活躍しそうだと改めて感じました。問題は、慣れるのにどれだけの時間を要するか」と野口氏。「新人の打者はプロの投手の球速、球質、コントロール、配球など、いろいろなものに慣れていかないといけない。過去に苦しむ選手をたくさん見てきましたが、乗り越えて早くレギュラーになってほしい」と期待を寄せる。
「開幕はスタメン7番あたりに置き、気楽に打たせるのが現実的なところ」と見るが、「渡部聖が“1番・中堅”に定着できるようなら面白い。足も速いですし、初回にプレーボールがかかったところで、いきなりホームランバッターが出てくるのを、相手バッテリーは嫌がりますから」と理想像を描く。
4番セデーニョと新助っ人ネビンは「離して置くのが理想」
「1番・中堅」で渡部聖が理想とすれば、2番以下の打順はどう並べるべきか。野口氏は2番に源田壮亮内野手、3番には、守備の負担を軽減して打撃に集中するため、二塁から三塁にコンバートされた外崎修汰内野手の復活を期待する。
そして4番候補は、来日3年目でオリックスから移籍したレアンドロ・セデーニョ内野手だ。球審を置いた上で、高橋光成投手、上田大河投手の投げる球を打ったフリー打撃では、鋭い当たりを連発していた。
野口氏は「ミート力はさすが。もともと、長打が欲しいところと、ヒット狙いでいいいところで打撃を変えられる選手。外角低めの変化球を見逃し、ウンウンとうなずきながらストライクゾーンを確認していた姿にも、明確な意図を持って練習していることを感じました」と高く評価。昨年はオリックスで15本塁打を放ったが、「さらに上積みがあるかもしれません」と見ている。
5番には、昨年アスレチックスで7本塁打20打点をマークした新外国人タイラー・ネビン外野手が想定される。野口氏は「そうなる可能性が高いと思います。ただ、彼を7番に置けるくらいだと、打線に厚みが出ると思います。もちろん、その場合はクリーンアップを打てる日本人選手が台頭しているという条件が付きますが……。4番のセデーニョとネビンを並べるよりも、離して置けるのが理想です」との見解を示した。
日本人選手で5、6番を打てるとなると、昨年4番を任されることも多かった佐藤龍世内野手。さらに、プロ2年目で身長196センチ、110キロの巨体を誇る大砲候補・村田怜音(れおん)内野手の成長にも期待したいところだ。野口氏は「あれだけの体格の選手は、それだけでも使いたくなりますよ。外国人選手より大きいのですから」とうなずいた。
これらの選手が活躍すれば“山賊打線”の復活も夢ではない。昨年はファンに何度もため息をつかせたが、ポテンシャルを秘めた人材はいる。西武打線の行方を、期待を持って追いかけたい。