パ新人王を徹底分析 アマチュア“トップ評価”の宗山、西川ら…歴代受賞者の傾向

ロッテ・西川史礁(左)と楽天・宗山塁【写真:小池義弘、町田利衣】
ロッテ・西川史礁(左)と楽天・宗山塁【写真:小池義弘、町田利衣】

パ・リーグの新人王はどのように選出されてきたのか

 昨年3月、大学生ながら日本対欧州代表戦のメンバーに選ばれ、同年10月に行われたドラフト会議では競合……。プロ入り前から将来を嘱望されていた楽天・宗山塁内野手とロッテ・西川史礁外野手。2月の春季キャンプでも一挙手一投足が注目され、プロ1年目から新人王級の活躍を期待するファンも多いだろう。

 ところが近年、パ・リーグの最優秀新人賞は投手が優勢だった。2000年以降でもセ・リーグは9人の野手が新人王を獲得したのに対し、パ・リーグは源田壮亮内野手と田中和基外野手の2人だけだった。

 2017年は当時プロ1年目だった西武・源田が新人王に輝いた。新人遊撃手で球団36年ぶりとなる開幕戦スタメンに抜てきされ「9番・遊撃」でプロデビュー。開幕5試合目から「2番・遊撃」に定着すると、143試合に出場して打率.270、3本塁打、57打点、37盗塁を記録した。

 月別成績を見ると、6月と7月こそ打率.230を下回ったが、それ以外の月では打率.250以上を記録(1試合のみの3月を除く)。特に5月は打率.306(98打数30安打)、出塁率.376、9月は打率.317(82打数26安打)、出塁率.333のハイアベレージを残した。

 また、2017年は7月下旬から8月上旬にかけてチームは59年ぶりに13連勝を飾っており、源田も大型連勝に貢献。連勝期間中にマルチ安打を5度記録し、打率.313(48打数15安打)と快音を響かせた。終わってみれば143試合フルイニングに出場し、球団新人盗塁記録を更新する37盗塁など好記録づくし。新人王にふさわしい活躍ぶりだった。

宗山は大学通算打率.344のアベレージヒッター

 2018年の新人王は、6月以降に「1番・中堅」を勝ち取った大卒2年目の楽天・田中だった。チームで2番目に多い18本塁打を記録したが、このうち初回先頭打者本塁打は3本、満塁弾が1本。8月1日のオリックス戦では、右打席で京セラドームのバックスクリーンに放り込むと、左打席でもライトスタンドへ本塁打を打ち込んだ。さらに、チームトップの21盗塁を成功させ、守っても広い守備範囲と強肩で存在感を発揮。105試合に出場して打率.265、18本塁打、45打点、21盗塁をマークした。

 2018年は54試合に登板し中継ぎでブレイクした山本由伸投手(当時オリックス)との新人王争いになったが、走攻守で光る田中が新人王を受賞した。

 チームの正遊撃手として、近年少なくなった143試合フルイニング出場をいきなり成し遂げた源田と、走攻守で片鱗を見せた田中。両選手の活躍から新人王獲得の目安を考えてみると、まずレギュラー奪取は不可欠といえそうだ。さらに打率.300以上、2桁本塁打、2桁盗塁といった出色の数字を残し、自身の持ち味を存分に出し切ることもタイトルに近づくことになるだろう。

 大学通算打率.344のアベレージヒッターであり、高い守備力も自慢の宗山。そして長打力が光る西川ら、6球団のルーキーたちの特徴に注目しながら、2025年の新人王の行方を楽しみにしたい。

(「パ・リーグ インサイト」編集部)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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