廣岡大志が全力プレーを貫く理由 “勲章”の泥々ユニホーム「おろそかにはしません」
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オリックス・廣岡大志「怠慢なプレーは絶対にしないようにしてきました」
節目の年でも、やることは変わらない。オリックス・廣岡大志内野手が、プロ10年目も泥臭く全力プレーで臨む。「カッコよくなんて、思ったこともありません。プロ野球だから華やかさが必要かもしれませんが、そういうレベルじゃないんで、僕は」。廣岡が今季も懸命なプレーを誓った。
廣岡は大阪市出身。奈良・智弁学園2年時に春夏甲子園に出場。1学年上には巨人・岡本和真内野手、1年後輩には阪神・村上頌樹投手がおり、2015年ドラフト2位でヤクルトに入団した。プロ1年目、9月のDeNA戦で「8番・遊撃」で先発出場し、引退試合で登板していた三浦大輔投手から第1打席で3ランを放ち「初打席初本塁打」を記録した。ヤクルトでは定位置を奪うまではいかず、2021年にトレードで巨人に移籍。2023年にはトレードでオリックスに移った。
内野の全てを守れるユーティリティプレーヤーで、全力疾走とひたむきにボールを追う懸命なプレーで知られる。オリックスでは外野での起用も多く、移籍1年目に初めて経験した2023年の日本シリーズ第4戦(甲子園)では、3-3の9回2死満塁からジェイコブ・ワゲスパック投手が大山悠輔内野手に左前打を許しサヨナラ負けとなった場面で、三遊間を抜ける打球に猛チャージ。左翼から本塁へ全力のバックホームを見せ、最後まで試合を諦めない姿勢をファンの目に焼き付けた。
「あの場面なら、誰だってバックホームをします。投げなアカンすよ」。1年以上が経っても変わらぬ称賛にも、廣岡の表情は変わらない。廣岡にとっては当たり前のプレー。「そうですよ。当たり前といえば当たり前のこと。誰にでもできることは、人一倍やるという気持ちをしっかりと持っています。(誰かに)見せてやろう、というのは一切ありません。どれだけ調子が悪くても、そういうところはおろそかにはしません。怠慢なプレーは絶対にしないようにしてきました」。
プロ10年目の今季は「レギュラーを獲るつもりです」
そんな廣岡の原点は、智弁学園であり、ヤクルト時代に「兄貴」と慕った坂口智隆氏の存在が大きい。「高校でもそういうことを厳しく教えていただきましたし、プロでは坂口さんの泥臭くプレーする姿を見てきて、なおさらそういう思いは強くなりました」。
10年目の今季を「分岐点」と捉え「レギュラーを獲るつもりです」と言い切る。課題は打撃。日本シリーズ第2戦(京セラD)で「9番・右翼」で初先発し4打数2安打1打点と活躍するなど、大舞台やチャンスに強い印象があるが、廣岡は「まだまだ、全然足りません」と大きく首を振る。
「安定して信頼を得られる選手にならないと。実際にレギュラーを獲っていないのですから、その現実を覆すためには打ち続けるしかありません。試行錯誤はしています。自分で自分を苦しめないように、しっかり準備をしたいと思います」。全身に染みついた全力プレー。「中嶋(聡)前監督も言ってたじゃないですか。最後までやり切ります」。打撃も泥臭く、ボールに向き合う。
○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)
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