甲子園に帰ってきた“名曲” 昨夏のバズり再来か…7人の急造応援団は9日前に発足

アルプス席で応援する西日本短大付の女子応援団【写真:宮脇広久】
アルプス席で応援する西日本短大付の女子応援団【写真:宮脇広久】

にしたんクリニック西村社長は昨秋西短を訪れ講演会を行った

 西日本短大付(福岡)は20日、38年ぶり2回目の出場となった第97回選抜高校野球大会の1回戦で、大垣日大(岐阜)に6-0と快勝した。にしたんクリニック、OBの日本ハム・新庄剛志監督、そして9日前に発足したばかりの応援団が力強く後押しした。

 タンタンタン、ニシタン……。西日本短大付がチャンスを迎えると、三塁側アルプス席ではブラスバンドが、「にしたんクリニック」のCMソングを軽やかに奏でる。

 西日本短大付のユニホームの胸文字は「西短」。“にしたん”つながりで、にしたんクリニックから許可を得た上で、昨夏の甲子園で演奏したところ、SNS上で大バズり。にしたんクリニックのCMの動画に「西日本短大付かよ」とのコメントが寄せられる“逆転現象”まで起きた。昨秋には、にしたんクリニックを運営するエクスコムグローバル株式会社の西村誠司社長が、同校を訪れ講演会を行った。

 選抜出場決定後、学校職員の間では「去年と同じネタを繰り返すのは、いかがなものか」という反対意見もあったそうだが、巷の好評ぶりも考慮し“再演”が決まった。野球部員を鼓舞するメロディーが、昨夏の3回戦進出を上回る快進撃へ導くことになるのか……。

 一方、西短といえばもう1つ、新庄監督の母校としても知られている。昨夏の甲子園でには“ビッグボス”も応援のため来場した。西短の西村慎太郎監督と新庄監督は母校の野球部の同期で、西村監督がショート、新庄監督はセンターのレギュラーを張っていた絆がある。

 この日、新庄監督が甲子園に再び姿を現すことはなかったが、西村監督は「直接連絡を取ってはいないので、皆さん(報道陣)のお力をお借りして、(勝利の報告を)伝えられればと思います。新庄のお陰で野球部のみならず、学校全体が自信を与えてもらっている。感謝しかありません。僕は同級生というだけで何もない人間ですが、新庄に乗っからせてもらっています」と頭を下げた。

新庄監督と同期の西村監督「何より凄かったのは彼の練習量です」

「新庄は高校時代、身体能力も別格でしたが、何より凄かったのは練習量です。テレビで見るイメージと実際の中身は違うと思います。今も選手たちに『大事なのは能力だけではない。他人の倍の努力が、自分の可能性を広げる』という話をする時に、新庄の名前を出させてもらっています」とも西村監督は明かす。

 そして今大会で新たに、野球部から「あったらいいな」との要望を受けてお目見えしたのが、応援団である。今月10日まで校内で募集が行われ、翌11日に応募した7人(全員女子)で活動を開始した。練習期間はごくわずかだったが、試合中はアルプス席の最前列に出て応援をリードし、演奏に合わせてダンス的なパフォーマンスも繰り広げた。

 応援団の1人である岩橋茉冬さん(3年)は「もともと野球好きではなかったのですが、西短に来て野球部の活躍を知り、興味を持つようになりました。それが応募した理由です。クラスメートの野球部員は、普段おちゃらけているのに、グラウンドでは真剣そのもの。“ギャップ萌え”します」と明かし、「私も応援には真剣に取り組みたいです」と表情を引き締めた。

 甲子園の土の上では、「3番・右翼」の斉藤大将外野手(3年)が今大会第1号本塁打をランニングホームランで飾るなど、ナインが存分に躍動。西短旋風はこれからが本番だ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY