プロ注目右腕が衝撃告白「靱帯が切れている」 わずか1イニングで終わった春

東洋大姫路・阪下漣【写真:加治屋友輝】
東洋大姫路・阪下漣【写真:加治屋友輝】

東洋大姫路の147キロ右腕・阪下、右肘の靱帯損傷が発覚

 第97回選抜高校野球大会は24日、大会第7日が行われ、第3試合は東洋大姫路(兵庫)が広島商(広島)と対戦。右肘を痛めているプロ注目右腕の阪下漣投手(3年)はベンチ入りしたものの登板することなく2-6で敗れた。

 試合前ノックではボールボーイ役を担い、試合中はベンチで必死に声を出した阪下。ブルペンで救援登板の準備をすることもなく、出番がないまま試合を終えたエースは「せっかくの甲子園の舞台だし、自分としては投げたい気持ちが強かった。投げられなくて悔しい。納得はしていません」と唇をかんだ。

 壱岐(長崎)との1回戦は先発したものの1回2失点で緊急降板。大会直前に右肘に違和感を覚えていた最速147キロ右腕は、登板後に病院で検査を受けた。そして発覚したのが右肘靱帯の損傷だ。「靱帯が(一部)切れてしまっていると言われました。最悪、手術も少し頭にありました。でも、そこまでじゃなかった。夏には間に合うようにしたい」。

 ノースロー6週間のドクターストップ。幸い、手術は避けられそうな見通しだという。大会前にグラブをつける左手の動きを試行錯誤。そこでフォームを微妙に崩して右肘に負担がかかった。「フォームが安定しなくて、体の使い方が違うなと思いながら調整していました。ようやく感じをつかめたと思って出力を上げたところで肘にきてしまいました。やってしまったというか、ヤバいなという気持ちでした」。無念の胸中を、そう明かした。

ノースロー6週間…「夏は万全に調整してリベンジしたい」

 それでも、痛みはそれほど強くはなく、張りを感じる程度。投げたい思いは強かったが、将来性豊かな投手に無理はさせられるはずがない。当然のように周囲に制止された。この試合は「チームのために全力で動こう」と裏方に徹し、先発の木下鷹大投手には「楽しんで、自分の投球をしてこい」と声をかけたが2回に6失点。「支えることができなかった。完全に自分のせいです」と責任を背負った。

 昨秋の近畿王者が、エースを欠く形で迎えた終戦。「何とか夏には間に合うように調整したい。ノースロー期間が終わったらリハビリを進めていく。夏は万全に調整してリベンジしたい」。見込み通りなら、5月にはキャッチボール再開できる。ただし、靱帯を損傷しているだけに予断は許さない。

 阪下にとって初めての甲子園は、ほろ苦い思いだけが残った。わずか1イニング23球で終わった春。雪辱を期すために残された時間は、それほど多くないのは確かだ。

(尾辻剛 / Go Otsuji)

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