日本ハム松岡洸希の初夢が正夢になる日 現ドラ→育成落ちで「1回諦めた」も…遂げた“覚醒”

日本ハム・松岡洸希【写真:町田利衣】
日本ハム・松岡洸希【写真:町田利衣】

第1回現役ドラフトで西武→日本ハム、3月30日の古巣戦で4年ぶり1軍登板

 北の大地でまた一人、才能を開花させた。日本ハムの松岡洸希投手は、3月30日にベルーナドームで行われた西武戦で4年ぶりの1軍登板を果たした。プロ入りから3年間を過ごした古巣本拠地のマウンドで「名前が呼ばれたときに西武ファンが拍手をしてくれて、それを聞いてうれしくなりました」。2安打を許すも1回無失点で役目を終えた。

 プロ6年目で大進化を遂げた。2019年ドラフト3位で西武に入団後、1軍登板は2020年の2試合、2021年の5試合のみで、2022年オフの第1回現役ドラフトで日本ハムに移籍した。しかし2023年限りで戦力外となり育成契約へ。今年実戦でアピールを続けて3月に支配下に返り咲き、開幕1軍を勝ち取った。

「正直、育成になったときに一回諦めたりしたんですけど、育成で残してくれるということは必要としてくれているということだと思って、それを頭に入れて、もう一回1軍で投げてやろうっていう気持ちでやっていました。昨年からトレーニングは継続してやっていて、フォームの変更とかいろいろ噛み合って今年こうやってやれているのかなと思います」

 一度育成契約となり、再び支配下を掴むのは簡単なことではない。そのままユニホームを脱ぐことになった仲間も見てきた。“諦め”の気持ちを救ったのは、昨季途中に支配下復帰した梅林優貴捕手らの存在。「梅さんとかを見て、しっかりまたやってやるという気持ちになりました」と刺激を受けながら、折れそうになった心を奮い立たせた。

「感謝の気持と高揚感、不安…全部噛み締めて投げていけたらいいな」

 4月1日にはド派手な本拠地開幕セレモニーに参加。「ああいうの、経験したことがないので、セレモニーで緊張しました」と照れ笑いする。ソフトバンク2連戦での出番はなかったが、「初夢を叶えられたらいいですね」と本拠地のマウンドに思いを馳せる。

 今年1月、松岡は丸刈り頭でエスコンフィールドのマウンドで投げている初夢を見た。すぐにバリカンで髪を刈った。結果を残して1軍メンバー入りを果たした。刻一刻と近づく“そのとき”へ「感謝の気持と高揚感、不安も時々あるんですけど、そういうのも全部噛み締めて投げていけたらいいなと思います」と力を込めた。

「自分の成績も大事なんですけど、やっぱりチームのために。球団、監督、僕に関わってくれた人のために恩返しできるようにっていう気持ちで、全力で腕を振りたいと思います」と松岡。殻を破った24歳が、初夢を正夢にする日も近そうだ。

○著者プロフィール
町田利衣(まちだ・りえ)
東京都生まれ。慶大を卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社。2011年から北海道総局で日本ハムを担当。2014年から東京本社スポーツ部でヤクルト、ロッテ、DeNAなどを担当。2021年10月からFull-Count編集部に所属。

(町田利衣 / Rie Machida)

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