由伸の「18」を継承した宮城大弥の変化 “裏エース”から脱皮へ…「引っ張っていけたら」

オリックス・宮城大弥【写真:小林靖】
オリックス・宮城大弥【写真:小林靖】

自ら志願…山本由伸が着けていた背番号18を引き継いだ宮城大弥

“裏エース”から真のエースへ――「18」を背負い、明らかにオリックス・宮城大弥投手の言葉が変わった。「ほぼ先輩ばかりですけど、引っ張っていけたらいいと思っています」と、いつになく表情を引き締めた。

 興南高から2019年ドラフト1位で入団し、1年目に初勝利を挙げ、2年目には13勝4敗で新人王に輝いた。昨季は左胸を痛めて7勝9敗と、4年連続2桁勝利は逃したものの、主戦投手としてチームに貢献してきた。

 それでも、投手陣の中での立ち位置には、常に控えめだった。絶対的エースの山本由伸投手がドジャースに移籍した昨年も、「自分からあまり『エースだ』と言っても、格好良くないと思います。“裏のエース”がいいですね」と、2番手で居続けることを望んだ。「あまり主人公タイプじゃないんで」という自らの性格も、控えめな発言につながった。

 しかし、自ら望み山本からエースナンバーの「18」を引き継いだ今季、チーム内の役割について積極的な発言が見られるようになった。心境の変化について宮城は「変わったというか、引っ張っていく人がいなくなったので引っ張っていけたらいいと思っています」と説明する。

 心境の変化には、広島から海外FA権を行使しオリックス入りした九里亜蓮投手の“存在”が大きいという。「九里さんは先輩でもありますし、発言力のある方で(投手陣を)引っ張っていく存在」と認めつつ、「移籍1年目では選手の顔と名前は覚えることができても、性格などいろんなことはわからないと思います。そこは僕が頑張ってできたら」と続けた。九里がチームの雰囲気にどっぷりとつかるまでは、プレーに集中してもらいたいという思いがあるようだ。

「時代を支えたのがエースという理想像があるんです」という宮城にとっても、エースとしての土台を築くチャンスでもある。「プレッシャーはかかるかもしれませんが、自分らしく、マイペースで引っ張っていけたらいいなと思っています」。6年目のシーズンも、常に謙虚な宮城らしい自然体で臨む。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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