博志が抱いた後悔、悩みを消してくれた助言…すぐ訪れた雪辱の場面「落ち着けた」

オリックス・博志【写真:栗木一考】
オリックス・博志【写真:栗木一考】

4点リードの8回に登板も4連打浴び…逆転負けの責任背負う

 鼓舞激励の言葉が身に染みた。オリックスの博志投手が、4連打を浴びて逆転負けのきっかけを作った翌日、2人の投手コーチのアドバイスで延長12回のマウンドを引き分けで締め、リベンジを果たした。

「曽谷(龍平投手)の勝ち星やチームの流れとか、取り戻せない部分はあるのですが、2度(悪い投球を)続けなかったことはよかったと思います」。4月10日のソフトバンク戦、延長12回に登板し、引き分けで終えた博志が安どの表情を浮かべた。

 前日の博志は、同じカードの8回、6-2の場面から登板し、4連打を浴び3失点と乱れた。終盤の追い上げでゲームはソフトバンクに大きく傾き、9回に1点差でマウンドに登った平野佳寿投手は山川穂高内野手に逆転3ランを浴び、代わった井口和朋投手も2点を献上。オリックスはその裏、3点を返したものの1点差で連敗を喫してしまった。

「僕が全て流れを変えてしまった。平野さん(が打たれた)なんて、関係ないですよ。僕がああいう流れに持っていってしまったんです」と逆転負けの責任を一身に背負った。

 しかし、チームは8日からの6連戦中。昨季、回またぎも含め中継ぎとして32試合に登板してブルペン陣を支えた博志には、「悩んでいる暇はなかった」という。

「どうしよう、どうしないといけないんだということを、ずっと考えています。昨日は何がダメだったのかと」。気付いたのは、マウンドでのフワッとした感覚だった。「自分のリズムでは投げていなかったですね。しっかりと一人一人の打者には集中していましたが、気が付いたらランナーが一、二塁という感じでした」という反省から、マウンドではしっかりと踏み込んで投げることに集中した。

翌日の延長12回、1-1の場面で登板…コーチ2人の言葉に感謝

 汚名返上のチャンスは、1-1で迎えた延長12回というしびれる場面でやってきた。2者を退けた後、周東佑京内野手にストレートの四球を与えたものの、代打・柳田悠岐外野手を遊直に仕留め、責任を果たすことができた。

 前日の試合後に「野球の怖さを見た思い」と語った岸田護監督も、「博志がリベンジして守り切りました」と、1日で雪辱を果たした博志を称えた。

 雪辱を果たした裏には、2人の投手コーチの存在も見逃せなかった。「いろいろ考えるところ、思うところはあるだろうが、あっち(マウンド)へ行ったらもう、原点に戻ってバッターに向かっていこう」。試合前の練習時に声をかけてくれたのは、オリックスのブルペン陣を長年支え、今季から就任した比嘉幹貴投手コーチだった。

 2死一塁で柳田を迎えた場面で、マウンドへ飲料水とタオルを持ってきてくれた厚澤和幸投手コーチからは、思いがけない言葉が聞けた。「お前、昨日と全然違うじゃないか。今日なら大丈夫、勝負するよ」。

 「アツさん(厚澤コーチ)は笑っていましたね。比嘉コーチの話もそうですが、あれで落ち着けました」と博志。1日で復調するチャンスを与え、心に寄り添う時宜にかなった言葉で鼓舞した投手コーチと、結果で応えたセットアッパー。好調・オリックスの秘密はこんなところにもある。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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