「下級生を私用で使うな」…釘を刺した名将 OBが言及、15年連続ドラフト輩出の理由

史上最長を更新し、今年の4年生にも侍ジャパン大学代表の4番らがひしめく
大物OBが、明大の15年連続ドラフト指名選手輩出の理由を語った。明大OBでプロでも日本ハム監督、日本ハムのゼネラルマネジャー(GM)、ヤクルト監督、DeNAのGMなどを歴任した高田繁氏が27日、東京六大学野球春季リーグの連盟結成100周年を記念する「レジェンド始球式」に登場。投球後、取材に応じた。
明大は昨年まで15年連続でドラフト指名選手を輩出し、史上最長を更新。そして今年の4年生にも、侍ジャパン大学代表で4番を務めた“強打の捕手”小島大河、最速150キロ左腕の毛利海大投手ら、ドラフト候補がひしめいている。
高田氏は「本当にいい選手が、明治に入ってきてくれているということだと思います」と指摘。「チームの雰囲気がすごくいい。和気あいあい、下級生も伸び伸びやっている。監督も善波(達也元監督=在任2008~2019年)以降、すごくいい指導をしている。先輩が出身高校の後輩に『明治はいいぞ、来いよ』と心から言える環境だと思います。だから、いい選手がどんどん来てくれる」と説明する。
高田氏自身は明大在学中、「御大」の愛称で親しまれた名監督・島岡吉郎氏(1989年死去)の薫陶を受けた。「御大は“人間力”を説き、選手たちには『何とかせい』とだけ言って、技術以前の精神力を重視していました。最近は精神論、根性論が嫌われる時代で、確かに技術もなくてはならないのだけれど、緊張する場面で結果を出せるかどうかは、やはりハート次第だと思いますよ」と左胸の辺りを叩く。「よく興奮した御大に背中をバチンと叩かれたりしたけれど、本気で何とかしようとすれば、何とかなるんだよ」と目を細めた。
明大在学中に通算127安打の東京六大学野球歴代最多記録を樹立
“島岡流”には、近年に通じる一面もあったという。「御大は3、4年生に厳しかった。『下級生を私用で使うな。寮の掃除、洗濯は全て、4年生が先頭に立ってやれ』と厳命していた」と強調。「御大が衰えてからは、いつの間にか、下級生が付き人を務めるとか、僕らが聞いたこともないルールが野球部内に設けられていたことがあった」と振り返りつつ、「近年はまた、いい方向に変わった。僕は今でもよく練習を見に行くけれど、グラウンドも寮も、本当に雰囲気がいい」と称賛する。
高田氏は明大時代(1964~1967年)、通算127安打の東京六大学野球歴代最多記録を樹立。2015年に明大の後輩の高山俊外野手(オイシックス新潟)に破られるまで、長く歴代1位の座を保持していた。
1967年ドラフト1位で外野手として巨人入り。巨人一筋に13年間プレーし、新人王、盗塁王1回、ダイヤモンドグラブ賞6回(外野手として4回、三塁手として2回)などに輝いている。現役引退後も重職を歴任。明大→プロの成功例の1つとなった。近年の隆盛にもつながっていると言えそうだ。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)
