トレードで巨人入りも…突然の“魔改造”「何で来たのかな」 悟った限界「もう無理だな」

小沼健太はロッテから2023年途中に巨人にトレード移籍した
2020年育成ドラフト2位でロッテ入りした小沼健太投手は、2022年に支配下をつかみ、2023年途中に巨人にトレードとなった。しかし新天地では1軍のマウンドに上がることなく、2024年限りで戦力外に。移籍翌日から始まった“魔改造”により、やるせなさの残る1年半となった。
順調なプロ野球人生のスタートだった。東総工高からBC・武蔵 、BC・茨城を経て、念願のNPBの門を叩いた。「独立リーグのときはプロを目指して何とか行けて、そこでセーブ王を獲れて支配下に上がれて、どんどん階段を上がっている感じで僕の中ではすごく楽しかったです」。2021年に新人ながら2軍で抑えを任され、イースタン・リーグで最多セーブ。翌2022年開幕前に支配下登録され、5月にはプロ初勝利もマークした。
突然の知らせは2023年7月だった。前日は山口航輝外野手の家でたこ焼きを食べ、この日のオフも先輩と出かける予定だった。「急に電話が来て『球団に来てくれ』と。そこでトレードだなと察しましたけど、まさか自分がとビックリしました」。
移籍先は巨人だった。選手層が厚いことはわかっていたが、トレードということは請われて行くということ。新天地での出番に意気込んでいた。しかし、合流翌日、待っていたのは“魔改造”。フォームの見直しにより、2〜3週間ほどは1軍どころか実戦登板すらなかったという。
2024年は2軍登板すらできず「6月、7月くらいにはほぼ上がれないと…」
「なんで来たのかなというのが率直な感想で……。投げさせてもらいたかったなというのが一番です。その年は4位で、Bクラスが確定してもチャンスをもらえないのかと。もちろん自分が結果を出せなかったのが悪いんですけど、正直うーんというのがありました。後から『久保コーチに任せておけば』みたいな話は聞いたんですけど、『獲ったけどもっとよくなると思うから』みたいなことは最初に言ってほしかったなと思ってしまいました」
そんな中、ロッテ時代から痛みのあった右足にメスを入れることを決め、2023年オフに自由契約となり育成契約に移行。2024年は3軍で実戦復帰こそ果たしたものの、2軍公式戦にも登板することなはなかった。「自分の中では頑張っていましたけど、6月とか7月くらいにはほぼ上がれないなとわかっていたので、もう無理だなとは思っていました。あのときは2軍の中継ぎが10人以上いて、3軍の投手が2人しか(2軍に)上がっていない。チャンスもらえないよなって」。厳しい現実だった。
同年限りで戦力外となると、2025年度からJABA埼玉県野球連盟に加盟した社会人野球・企業型クラブチーム「3GoodGroup HOZEN noLIMITEDs」入り。平日は週2日、限られた時間、限られた環境で行う野球に「やる日にちが少なくなって、さらに楽しくなりました」と新たなやりがいを得ている。順風満帆ではなかった4年間のNPB生活も糧に、26歳の野球人生は続いている。
(町田利衣 / Rie Machida)
