巨人が抱える誤算 磐石の“方程式”を持ちながらも…専門家分析「ひずみが生じている」

20日の阪神戦でも初回いきなり3失点で4回降板…いまだ今季0勝4敗
リーグ連覇を狙う巨人は、5月に入ってから16試合6勝10敗(勝率.375)と黒星先行。首位阪神に3.5ゲーム差の4位(成績は20日現在、以下同)と引き離されつつある。優勝争い生き残りの鍵とは……現役時代にヤクルト、阪神など4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏が分析する。
今季の巨人は、昨季最多セーブのタイトルを獲得した守護神ライデル・マルティネス投手を中日から獲得し、昨季29セーブ、防御率0.88の大勢投手をセットアッパーへ配置転換。“7回終了時点でリードしていれば勝ち”と言えるスタイルを確立し、ペナントレースも圧倒的優位に見えた。実際、マルティネスは今季18試合に登板して14セーブを挙げ、いまだ無失点。大勢も17試合4勝12ホールドで防御率1.53。8、9回を担う2人に誤算はない。
ところが、チーム防御率2.90はリーグ5位で、同トップの2.49で終えた昨季と比べても振るわない。野口氏は「菅野(智之投手=現オリオールズ)が抜け、戸郷(翔征投手)が勝てない分、先発投手陣にひずみが生じている」と指摘する。確かに、昨季15勝(3敗)で4度目の最多勝に輝いた菅野が抜けた穴は大きい。さらに今季2度目の開幕投手を務めた戸郷は、20日に敵地・甲子園球場で行われた阪神戦でも先発していきなり初回に3点を失い(自責点2)、4回限りでマウンドを降りた。今季0勝4敗、防御率7.52と闇が深い。
中継ぎ陣も前日(19日)の中日戦(東京ドーム)で、2点リードの7回に登板した昨季新人王・船迫大雅投手が1イニング2本塁打を浴びて逆転され、8回を担った左腕・中川皓太投手も2失点(1自責点)。大勢、マルティネスまで繋げず敗れた。
野口氏は「中継ぎが非常に大事なポイントであることは間違いない。船迫、中川に関しては1度や2度打たれたからといって、すぐに信頼を失うことはないと思います。それよりも、昨季セットアッパーとして活躍した(アルベルト・)バルドナード(投手)の調子が上がらず2軍での調整が続いていることの方が、チームにとって痛いかもしれません」と見る。
昨季チーム最多登板のバルドナードの2軍暮らしが続く影響
バルドナードは昨季、チーム最多の58試合に登板し2勝3敗9セーブ26ホールド、防御率2.44をマーク。ところが今季は開幕から2試合、防御率6.75と振るわず、4月4日の出場選手登録抹消以降2軍暮らしが続いている。DeNAを昨季限りで自由契約となった左腕・石川達也投手は12試合(先発5、リリーフ7)で防御率1.64と奮闘しているが、やはり役者が1枚足りない状況だ。
「いずれにせよ、巨人は戸郷、岡本(和真内野手)が投打の軸ですから、この2人に本来の調子が戻らないと苦しい」と野口氏。それまで、先発陣と中継ぎ陣が持ちこたえることができるか。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)