ドラフト上位候補も…早大エースに心配な“勤続疲労” スカウトが注目した明大左腕の成長

早大・伊藤樹(左)と明大・毛利海人【写真:加治屋友輝】
早大・伊藤樹(左)と明大・毛利海人【写真:加治屋友輝】

勝ち点「4」勝率.692で並び3日に雌雄を決する一戦

 東京六大学野球春季リーグは、早大と明大が勝ち点「4」、勝率.692で並び全日程を終了。3日に1試合の優勝決定戦が行われることになった。先発は今秋ドラフトの上位指名候補に挙がるエース同士、現役最多の通算19勝を誇る早大の右腕・伊藤樹(たつき)投手(4年)と明大の最速150キロ左腕・毛利海人投手(4年)のマッチアップが濃厚。プロも熱い視線を注ぐ一戦となりそうだ。

 3季連続優勝を狙う早大は今季、明大にリードを許す展開だったが、1日の慶大2回戦に6-5で競り勝ち、とうとう首位・明大に並んだ。今年が連盟結成100周年の東京六大学野球で優勝決定戦にもつれ込むのは、同じ早大-明大の顔合わせだった昨秋に続き、2季連続14回目。昨秋は伊藤樹が明大を9回3安打完封し、天皇杯を手にしている。

 伊藤樹は今季も明大との直接対決(5月19日の2回戦)でノーヒットノーランを達成しており、明大打線が相手となると滅法強い。早大主将の小澤周平内野手は「明治はたぶん、(早大との優勝決定戦を)やりたくなかったと思う。自分たちの方が勢いはあるはず」とボルテージを上げつつ、「今季は毛利もビシビシ来ているので、投手戦になることは間違いないと思います」と表情を引き締めた。

 明大の頼みの綱は、成長著しい毛利の投球だ。今季は9試合6勝0敗で、防御率1.34は伊藤樹の2.44を上回り、最優秀防御率のタイトル獲得を確定している。早大との直接対決1回戦(5月18日)でも、6回2安打無失点に抑え勝利投手になっている。

小宮山監督にエース学伝授される伊藤樹、成長著しい毛利

 ベテランスカウトとして名声が高い広島・苑田聡彦球団本部スカウト顧問は「毛利くんが昨年よりずっと良くなっているので、驚いています。球が速くなり、制球力も上がりました」と称賛。「伊藤くんは非常に安定している。ただ、高校(宮城・仙台育英高)、大学と投げ続けてきた“勤続疲労”を各スカウトがどう見るか……」と指摘する。

 伊藤樹は早大で1年生の春に早々とリーグ戦デビューし、これまでに通算55試合(229イニング)19勝3敗、防御率1.89と圧倒的な実績を誇る。元プロでNPB通算117勝の小宮山悟監督の下で、“エース学”とプロで通用する技術を修めてきた。一方、毛利は伊藤樹の半分に満たない通算23試合(104イニング)で、10勝2敗、防御率1.56だが、“使い減り”していないところもプロにとっては魅力のようだ。

 3日の優勝決定戦へ向け、伊藤樹は5月31日の慶大1回戦で8回126球を投げ、翌6月1日の同2回戦でもクローザーとして試合を締め、中1日での先発となる。一方、毛利の今季最終登板は5月26日の法大3回戦(6回1失点)で、中7日と休養十分。これが勝敗に影響するのか、しないのか……。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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