1年生4番で甲子園出場も…失いかけた自信 “プロ注目”名門の主将が描く全国制覇の道筋

浦和学院・西田瞬【写真:磯田健太郎】
浦和学院・西田瞬【写真:磯田健太郎】

埼玉注目の浦和学院・西田瞬内野手、春季大会で見事V、掴んだ夏への手応え

 春の埼玉王者に輝いた浦和学院が、今夏の第107回全国高校野球選手権(7月9日開幕)で、まずは16度目の県大会優勝を狙い、続いて夏の甲子園初制覇に照準を合わせている。そんな豪傑チームを引っ張るのが、プロ野球入りを目指す主将の西田瞬二塁手(3年)だ。

 埼玉県比企郡小川町出身の西田は、子どもの頃からしょっちゅう県営大宮球場に足を運んだ。あこがれの浦和学院の試合を観戦するためだ。高校進学を考えた時、一体感のある野球スタイルと応援団が大好きだった浦和学院が真っ先に頭に浮かんだ。

 入学間もない春季県大会で試合に絡み出し、夏の埼玉大会途中から4番・一塁で起用される。2年ぶりに出場した甲子園でも4番を任され、1年生では石田陽人とともに仙台育英との1回戦に先発。4回の適時二塁打に続いて7回にもタイムリー、9回は四球で出塁するなど4打数2安打2打点の奮闘ぶりだ。チームは9-19と大敗したが、才気煥発な16歳が一躍脚光を浴びた。

 この抜てきについて西田は「実力では3年生のほうが上でしたが、先輩を見習って思いっ切りプレーすることを心掛け、それを監督さんが見てくださったからだと思います」と振り返る。その森大監督は「上級生にかわいがってもらった彼の人間性(が大きかった)。キャプテンシーがあるのに、仲間からいじられる人懐っこさが魅力です」と人柄の良さが技術を超越すると見立てたようだ。

 両親には怒られたことがないそうで、優しい父と母の下でパーソナリティーが育まれたのだろう。

 だが、この夏以降は耐え忍ぶ時期が続いた。
1年秋は県大会準決勝で屈し、昨年は夏、秋とも準々決勝敗退。秋は初優勝した浦和実に2安打完封される屈辱を味わった。

「去年の秋は悩みが多かった」と西田は打ち明け、「打撃を看板にしてきたが浦和実の石戸(颯汰)君に苦しめられ、打力だけでは勝てないことを痛感しました。それからバントや走塁を大事にし、ヒット2本でも得点できるような野球を目指してきました」と考え方を一新し、新たな戦法を模索した半年余りだったことを説明した。

浦和学院・西田瞬【写真:磯田健太郎】
浦和学院・西田瞬【写真:磯田健太郎】

憧れはDeNAの牧秀悟

 昨秋、二塁手に転向し、この春には打順も3番から2番に変わった。打者としての信条は「ホームランよりも外野の間を抜くことを意識し、その延長が長打になればいいという考えで打席に入っています」と言う。

 好不調の波があった昨秋の反省を踏まえ、毎試合最低でも1本打って、勝利に貢献することをノルマに課した。春季県大会は19打数9安打7打点とよくバットが振れ、大会前の抱負を実行してみせた。

 野球部父母会長の父の故郷である広島が好きプロ球団だが、目標にする選手はDeNAの牧秀悟内野手だ。「大柄なのに華麗な守備がすごい。同じ二塁手なので参考にしているし、ああいう選手になりたい」と敬慕する。

 8度目の頂点を狙った関東大会は、準々決勝で横浜に2-3の惜敗。次は埼玉での厳しい戦いが待っている。“打倒ウラガク”を旗印に掲げるライバルが牙をむく真夏の球宴は、7月9日に開幕する。

 過酷な夏の戦いを勝ち抜くには何が必要なのか? 「監督さんからも言われていますが、常に6割から7割のパフォーマンスを出すことです。良かったり悪かったりではいけない。バラツキをなくし、どんな試合でも持てる力の7割くらいを出すことが優勝につながると思います」と迷わず答えた。

 秋のドラフト会議で指名されるためにも、今からさらなるパワーアップに努めたい。チームメートにいじられながらブラッシュアップに尽力し、夏の王者へ駆け上がる強い浦和学院をけん引する覚悟でいる。

【実際の動画】甲子園1年生4番がドラフト候補へ成長 浦和学院・西田瞬に密着

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