「リアル殿馬」ハムドラ5・山縣秀の絶対的強み 谷内コーチの視点、高みへ必要な取捨選択

日本ハム・山縣秀【写真提供:産経新聞社】
日本ハム・山縣秀【写真提供:産経新聞社】

「捕球の感覚。狙ったところに入る能力はすごく高いと思います」

 日本ハムのドラフト5位・山縣秀内野手(早大)の存在感が日ごとに増している。6月4日に阪神戦ではプロ初本塁打も放ったが、魅力はやはり安定感のある守備。ここまで遊撃で20試合、二塁で5試合に先発出場し、ルーキーとは思えないほどの落ち着きを見せている。「がたしゅー」の強みや課題について、現役時代に守備職人と呼ばれた谷内亮太内野守備走塁コーチに聞いた。

 早大から入団した23歳は、春季キャンプは沖縄・国頭村のファームスタートだった。オープン戦でも1試合の出場で打率.000(3打数0安打)にとどまり、開幕も2軍で迎えた。イースタン・リーグでは12試合に出場して打率・200。4月15日、球団新人一番乗りで1軍切符を掴んだ。

 野球漫画・ドカベンの名手に例えられ「リアル殿馬」とも称される山縣の軽快な守備。谷内コーチは「一番いいのは捕球の感覚。打球に対していいバウンドで入るとか、送球しやすいバウンドで入る、狙ったところに入る能力はすごく高いと思います」と説明する。

 東京六大学リーグ時代から守備力に定評があったとはいえ、それを“普通”にプロの舞台でも行うのは難しいことだ。だからこそ「まず1軍でこれだけ遊撃で試合に出て、目立ったミスもなくこういう感じできているというのはとてもすごいこと。本当にすごいことです。めちゃめちゃ頑張っているし、アウトにしてほしい球をアウトにしてくれているから、そういう面では期待以上のことをやってくれているなとは思います」と語気を強めた。

「取捨選択がもっとできるようになったら、無駄なミスはもっと減る」

 一方で、シーズンはまだ80試合を残す長丁場。「アマチュアと違って、143試合出て安定感のあるショートを求められると考えたときには、そこは無理をしなくていいのになとか、もうちょっと時間をかけてもいいなというプレーもあるし、そこの取捨選択がもっとできるようになったら無駄なミスはもっと減るかなと思います」とさらなるレベルアップのための課題もある。また送球面はまだ改善の余地があるだけに「そこの正確さが増せば、もっともっと捕球も楽になるし、捕れるアウトは増えるかなと思います」と分析した。

 課題にぶつかるときもきっとくるだろう。しかし山縣にしかできないような守備は大きな武器だ。谷内コーチも「もちろんショートは守備をしっかりやるのが大前提。それを忘れてほしくないし、打ったらOKみたいなのは、二遊間はほとんどないと思います。だからショートとしての可能性はすごくある選手です」と太鼓判を押した。

 プロ初本塁打を記念して発売されたのは「がたしゅーは孫グッズ」。山縣の無邪気なかわいい笑顔にちなんでつくられたのだという。“道民の孫”として人気も急上昇中の背番号「54」が、首位チームの“守備の要”をしっかりと担っている。

○著者プロフィール
町田利衣(まちだ・りえ)
東京都生まれ。慶大を卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社。北海道総局で日本ハム、東京本社スポーツ部でヤクルト、ロッテ、DeNAなどを担当。2021年10月からFull-Count編集部に所属。

(町田利衣 / Rie Machida)

この画像の記事を読む

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY