支配下へ、大江海透が秘めた決意 胸に刻んだ岸田監督の助言「勝負の世界では通用しない」

育成2年目の大江が掲げる「防御率0点台」
オリックスの育成2年目左腕、大江海透投手が支配下入りを目指しアピールを続けている。「目指すところはそこなんですが、目の前の試合を一生懸命にやって抑えるしかないと思っています」。大江が決意を秘めた口調で切り出した。
大江は神崎清明高(佐賀)、久留米工大、九州アジアリーグ・北九州下関フェニックスから2023年育成ドラフト2位で入団。1年目は中継ぎ、抑えで19試合に登板し、2勝0敗、防御率6.10で支配下入りは果たせなかった。
昨年オフに参加したウインターリーグが転機となった。中継ぎ、抑えで10試合に登板し、1勝0敗、4ホールド、1セーブ、防御率0.75。12回で14奪三振を奪う攻めの投球で、失点は1-9の7回から登板した5試合目の1点だけだった。
「防御率0点台」を目指す2年目の今季は、左打者を中心に中継ぎ、抑えで起用され、15試合で1勝0敗、防御率1.17。4月26日のソフトバンク戦(タマスタ筑後)の1失点以来、7試合連続して無失点投球を続けている。
投球を支えているのは、岸田護監督が2軍投手コーチだった時に受けたアドバイス。「『細かいことは考えず、逃げようとせず勝負していこう』と。逃げるということは、勝負の世界では通用しないんだと教わりました。こっち(ファーム)でかわす投球をしても、支配下に上がった時には通用しないと思うので。コースを狙うのではなく、強い真っすぐでファウルを取る意識で投げています」と話す。
支配下の登録期限は7月末。「やらなきゃ時間がないので、貪欲に自分の投球を続けたいと思っています」。虚心坦懐にマウンドに臨む。
○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)