東松快征を変えた「先発の心得」 怪我での離脱もプラスに…意識する“割り切り”

オリックス・東松快征【写真:小林靖】
オリックス・東松快征【写真:小林靖】

宮城や田嶋からのアドバイスで変わった“意識“

 オリックスの2年目左腕・東松快征投手が怪我から復帰し、1軍のマウンドを目指している。「力まず、入り過ぎず、楽しみながら投げられるようなりました」と屈託のない笑顔を浮かべた。

 2年目の今季、春季キャンプで1軍主体のA組に抜擢。オープン戦の中盤まで中継ぎ候補として期待を集め、開幕1軍をつかんだ。しかし、紅林弘太郎内野手の腰痛で内野手を補充する関係で、4月5日に1軍選手登録を抹消された。

「岸田(護)監督からは、『実力で(降格するのでは)ないから気にするな』と言っていただきました。何かがダメだったのではなく、チーム事情としか考えないようにしてきました」。明るい性格そのままに、ポジティブに捉え前を見据えた。

 2軍では、先発と中継ぎで起用されているが、宮城大弥投手や田嶋大樹投手に「先発の心得」を積極的に聞いたという。宮城からは6回を3失点のクオリティスタートを目指せばいい、田嶋からは力感のほか楽しみながら投げることの効用を教わった。

「自分の場合、初回にピンチになると、1点もやりたくないからどんどん(カウントが)厳しくなって、四球で走者をためてカーンと打たれることがありました。それからは、1点はいいから大量失点は止めようと、気持ちが変わりました。田嶋さんのように、ここでファウルを取って、ここでちょっとタイミングを外して、次はこれで振らせようと考えるようになってから、ピッチングの楽しさが分かってきました」と東松。気持ちを切り替えが上手くいったことで、5月初旬までの防御率は0点台と安定した成績を残してきた。

 ところが5月9日のくふうハヤテ戦(静岡)の3回守備で転倒。6月中旬まで戦列離脱を余儀なくされた。「今年の目標が1年間、怪我なく過ごすことだったし、あと2、3試合好投すれば1軍の可能性もあったかもしれないので悔しかった。ただ準備不足での怪我ではなかったのでしょうがない」と割り切ったという。

 リハビリ中に行った上半身のウエートトレーニングやネットピッチのおかげで、「ストレートのばらつきが少なくなり、制御できている感じがあります」と手応えを感じ取っている。

 東松について比嘉幹貴1軍投手コーチは、「日々、勉強だねっていう話をしてきました。失敗しても、同じ失敗を続けちゃよくないので、そこはちゃんと頭に入れてと。ただ、ちっちゃくまとまっても嫌なんです。150キロを超す真っ直ぐがあるので、長所を伸ばして一つ一つ修正していってほしいですね」と期待を込める。

「暑さが続きますが、体調を整えて怪我をしないようにして、早く1軍の戦力になりたいですね。後半戦にしっかりと勝負したいと思います」。今季初登板を見据え、左腕は準備を続ける。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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