西武・仲三河優太に重なる米殿堂入り打者 戦力外から逆襲へ…コーチが称賛する“能力”

西武・仲三河優太【写真:岡部直樹】
西武・仲三河優太【写真:岡部直樹】

入団5年目の仲三河は戦力外→支配下復帰→即1軍

 西武入団5年目の仲三河優太外野手が今月10日に支配下登録を勝ち取った。1度戦力外通告を受け、育成契約から“再スタート”した22歳の大砲候補を、立花義家打撃コーチは米大リーグのレジェンドを引き合いに潜在能力を語った。

 中学時代は野球日本代表「侍ジャパン」U-15で投手として活躍。大阪桐蔭高では外野手としてプレーし甲子園にも出場。2020年ドラフト7位で西武に入団した。

 長打力を武器に将来の大砲として期待されたが、入団3年目の2023年は主に3軍での出場ながら、秋の教育リーグ「みやざきフェニックス・リーグ」では3本塁打を放ちチームの優勝に貢献した。しかし、その年のオフに戦力外通告を受け、育成契約を結んだ。

 3桁の背番号でのプレーとなった昨年は2軍で出場19試合にとどまり、打率.156、2本塁打に終わった。しかし、今季は本来の持ち味が開花。2軍でサイクル安打を達成するなど大暴れ。45試合の出場で打率.327、9本塁打、37打点の成績を残し、7月10日に支配下復帰を勝ち取ると、即1軍登録。同日の楽天戦でプロ初安打をマークした。

 豪快なスイングが持ち味の仲三河について、今季から西武に復帰した立花コーチは「とにかくしっかりバットを振れる。振れるってことはいいことだと思います。あとはボールを“後ろ”から見るような感じでずっと打ってくればいいなと思っています」と語る。打席内でボールを捕手寄りからの目線で、スイングするバット越しに見るような形で打つことを理想に掲げた。

「ちょっと(投手との)距離を詰めていくときがある。そうなると残念ながら詰まってしまう。だから後ろから見るような構えになっています。後ろから見るということは基本的にボールを長く見ることができる。(突っ込んで)近づいてしまうと長く見ることができない。そこは話して取り組んでいます」

NPBでの指導歴25年目の立花コーチ

 ソフトバンクでは13年間指導し、今季がNPBでコーチ歴25年目のベテランコーチは仲三河の“振る力”について「打ちに行く入り方がいい。特徴といえば、あの柳田悠岐は振ることがすごかったから、あんな感じにならないかなと思っているよ」と評価。入団当時の柳田を指導した名コーチは、22歳に球界屈指のスラッガーの姿を重ねている。

 さらに「構えの雰囲気はロッド・カルーに似ていると思うんだよね」。1967年から1978年にかけてツインズでプレーし、4年連続を含む7度の首位打者となった、殿堂入りレジェンドの名前を挙げた。「最初に見たときに思って、すぐにYouTubeで調べて仲三河にも映像を見せたんですよ」と明かした。

「メジャーでもバリバリのバッターだったからね。悔しい思いもしているから、たくさん打ってほしいよ。研究心もあるから楽しみにしています」。まだ22歳。未完の大器は期待を背負ってフルスイングを貫く。

○著者プロフィール
湯浅大(ゆあさ・だい)
東京都生まれ。法大から1997年に産経新聞社に入社。サンケイスポーツでサッカー、野球などを担当。主にMLB、DeNA、日本ハム、西武などを取材した。2023年11月からFull-Count編集部に所属。

(湯浅大 / Dai Yuasa)

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