目標の「13」へ、支える“準備力” 「野球ができるうちは」曽谷龍平が貫くプロ意識

オリックス・曽谷龍平【写真:栗木一考】
オリックス・曽谷龍平【写真:栗木一考】

今季ここまで8勝3敗、防御率3.02

 オリックスの3年目、曽谷龍平投手が前半戦を終え、自己最多の8勝目を挙げた。リーグV奪還を目指すチームに大きく貢献している左腕が、安定感の秘密を語った。

「やはりブレないというか、準備ですね。僕たち(先発陣)は、1週間に1度しか投げないですから、そのために毎日、何をするか。それがちゃんとできているから、けがなく投げられていると思います」。曽谷が背筋を伸ばして前を見据えた。

 曽谷は奈良・斑鳩町出身。明桜高(秋田)、白鴎大から2022年ドラフト1位で入団。1年目のシーズン最終戦で初勝利を挙げ、2年目の昨季はローテーションを守り、20試合登板で7勝11敗、防御率2.34と安定した成績を残した。

 今季は、チーム75試合時点で13試合に登板し7勝3敗、防御率3.33。特筆すべきは、投球回数の増加だ。昨季終了時の119回に対し、今季は13試合で78回1/3。90イニングを超えている九里亜蓮投手、宮城大弥投手には及ばないが、初完投もあり勝ち星だけでなく先発投手の責任を果たしている。

 安定感の秘密は、先頭打者への意識だ。6月1日のソフトバンク戦(ほっともっと神戸)から5試合連続して、初回は無失点。1回の先頭打者の出塁を許したのは1度だけ。「先頭は特に意識をしています。気持ち的には、フォアボールを出すくらいなら打たれた方がいいというくらい。それがいい結果につながっています」と明かす。

 それでも、曽谷は「4回で降りる試合があったのが、前半の反省材料です」という。マウンドコンディションが悪く、相手投手も苦しんだ5月25日のソフトバンク戦(鹿児島)を除けば、5回までに降板したのは2試合だけ。だが、「先発としてはせめて5回は投げないといけません。宮城は調子が悪くても5回、6回を投げますから。悔いが残るとしたら、そこですね。来年につなげるためには、そこは何とかしたいというのが今の僕の反省材料ですね」。お手本としている1歳下のエースの名前を挙げ、自らを奮い立たせる。

 無駄球を減らして四球を少なくして長いイニングを投げ、規定投球回をクリアするのが今季の目標。「13」に設定した勝ち星は、シーズン半ばで達成可能なところまできた。「遊びたい気持ちもありますが、何年できるかわかりません。(現役を)終わってからでもできますし、野球ができるうちはちゃんとやりたいと思っています」。ここでもブレずに、野球に没頭する。

〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY