育成から再出発…遠藤成が掴んだ“手応え” オリで見つけた新境地「武器になる」

オリックス・遠藤成【写真:小林靖】
オリックス・遠藤成【写真:小林靖】

阪神を戦力外、オリ加入の遠藤が目指す支配下

 オリックスの育成・遠藤成内野手が7月に入り打撃の調子をあげ、支配下入りに向け猛アピールを続けている。「自分でコントロールできないことは気にせず、やることをしっかりやるだけだと思っています」。遠藤が日焼けした精悍な顔を引き締めた。

 遠藤は東海大相模高から2019年ドラフト4位で阪神に入団。昨季は2軍で自己最多の126試合に出場し、ウエスタン・リーグトップの出塁率.392、同2位の30盗塁をマークした。しかし、5年間で1度も1軍出場は叶わず、オフに戦力構想から外れ、育成契約でオリックスに入団した。

「開幕1軍を狙う気持ちで臨む」と意気込んだが、オープン戦5試合で1安打と結果を残せず、2軍で試合を重ねることに。6月に入り打撃が上向き、打率3割前後を推移。規定打席には足りないものの、前半戦で打率.313、出塁率.444、長打率.422。とくに7月以降は出場9試合で35打数13安打、5打点、打率.371と、主に1番打者としてチームを牽引している。

 打撃向上のきっかけは、タイミングの取り方を変えたことにあると話す。「いい時の映像を見返したら、足を上げずにすり足にしていてその感覚で打ってみようかなと思ったんです」と遠藤。ただ、それを強く意識するのではなく、始動のタイミングや間合いをいい状態の時と同じようにしているという。状態が悪くなるとスイング軌道が下がる傾向にあるため、ボールを上から叩くようにバットを振り出して修正しているのも、好結果につながっている。

 指導する福川将和2軍打撃コーチは「秋季キャンプで初めて見た時から、いい打撃をしていると思いました。ボール球を振らないし、内角も苦にしていない。練習でもブレずにセンター返しを徹底してやるなど、打席への入り方がいいですね」と評価する。

 最大の武器は「走力」。盗塁は、リーグトップの茶野篤政外野手の17に次ぎ2位タイの15。オリックス入りしてからは外野にも挑戦し、内外野すべてのポジションで出場している。「今は楽しいですね。いろんなところを守れるのは、武器になります」。支配下登録の期限は7月31日。一喜一憂せず、朗報を待つ。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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