オリドラ6・片山楽生が手応え掴む「生命線」 プロで痛感した課題…追い求めた“一級品”

多彩な変化球も、ドラ6の片山がプロで痛感した課題
オリックス・ドラフト6位の新人、片山楽生投手(白樺学園、NTT東日本)が、ツーシームを武器に好投し勝ちパターンでの登板へアピールを続けている。
「僕の生命線です。まだ、データがないこともあると思うのですが、(打者から)すごくいい反応をもらえています」。片山が投球の軸になっているツーシームに自信を見せた。
社会人時代からカーブ、スライダー、フォーク、チェンジアップ、ツーシームと多彩な変化球を投げていたが、プロ入りしてから痛感したのが「一級品のボールがない」ことだったという。
「何を投げてもストライクを取ることはできるのですが、これだというボールがなかったんです。岩嵜さん(翔投手)のストレートや山岡さん(泰輔投手)のスライダーのような、圧倒的なボールがないんです。くるとわかっていても打てないボールを持っていれば、僕みたいなことをする必要はないのですが、そういうピッチャーではありませんから」と片山は話す。
そこで取り組んだのが、ツーシームだった。「社会人時代よりコントロールがよくなったので、打者の反応をみるために内角を攻めるなど、意図して投げることができるようになりました」。決め球となる一級品のボールではないものの、「何かを気にさせて、次のボールを生かすという組み立てができるようになった」というわけだ。
ファームの指導者の助言も身に染みた。「『お前の特徴は何なんだ』『何で生きていくんだ』と、結構言われて。勝負ができるボールがない自分を生かすためには、打者と駆け引きができるスタイルを突き詰めていかなきゃいけないと感じました」。
4月に1軍で1試合に登板(2回、被安打4、1失点)した後、6月中旬までファームで先発を中心に調整。再昇格後は中継ぎに回り、リードされた場面での登板が続いているが「点差は関係ないと思っています。打たれたら僕の代わりはたくさんいるので下に落ちるだけです。抑えると『ヨッシャー!』とガッツポーズが出ちゃいます。他から見たら点差があってそんなシチュエーションじゃないと思われるかもしれませんが、1球1球、必死なんです」と明かす。
「少しでもいいポジションでというのは、(チーム事情もあり)自分ではコントロールできない部分。もう後がないと思って、一喜一憂せず自分のすべてを出し切るという思いでやっています」。愚直に与えられた仕事をこなし、自分を磨いていく。
○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)