才木海翔が師と仰ぐ岩嵜翔「人生の半分がプロ」 追い続ける姿は「カルガモ親子」

オリックス・岩嵜翔(左)と才木海翔【写真:小林靖、冨田成美】
オリックス・岩嵜翔(左)と才木海翔【写真:小林靖、冨田成美】

シーズン途中に加入した岩嵜が目標に

 シーズン中盤からセットアッパーとして頭角を現したオリックスの育成出身・才木海翔投手が、今季途中に中日から移籍してきた岩嵜翔投手を手本に、背中を追っている。

「岩嵜さんは、人生の半分をプロの世界で過ごしている方。お手本にさせてもらっていますし、僕の目指すべき人だと思っています」。才木が表情を引き締めた。

 北海道栄高、大経大から2022年育成ドラフト2位でオリックスに入団した才木に対し、岩嵜は市船橋高(千葉)で甲子園に出場し、2007年高校生ドラフト1位でソフトバンクに入団、今年5月に中日から金銭トレードでオリックスに移籍した。プロでのキャリアは、球宴までの1軍での登板試合数が、3年目の才木の26試合に対し、岩嵜は338試合。2017年にはシーズン72試合に登板し最優秀中継ぎに輝いており、先発から中継ぎに転向した才木にとって大きな目標だ。

 才木が目標とするのは、キャリアだけでなく「人間性もちゃんとされていますし、聞けばすぐに答えが返ってくるところや野球でのオン・オフの切り替えもめちゃめちゃちゃんとできているところ」だという。肩やひじの状態に応じた調整方法を聞くと、岩嵜からはストレッチの仕方やコンディショニングの方法などがすぐに返ってくる。

「僕は甲子園に出場していませんし、全国大会の出場経験もありません。ドラフト上位でもなく、育成から入ってきて引き出しが少ないだけに、参考になります」と才木。

 ただ、才木もすべてを教わっているわけではない。「ブルペンでは僕と全く(肩の)作り方が違いますし、それまでの準備の仕方も違います。教えてもらうより、見て盗んでいます」という。ボールを投げることより、ゴムのチューブを使って肩の中を締め込んだりしている準備を参考にしているそうだ。

 最近では、岩嵜の後ろをついて歩く才木の姿がよく見られ、ファンの間では「カルガモ親子」と呼ばれている。才木について、岩嵜は「向こうが引っ付いてくるんですが、僕はコーチではありませんからあまり教えてはいません」と苦笑しながらも「(けがなど)たくさん経験していますから、少しでもヒントになればとは思っています」とアドバイスは惜しまない。「初めてキャッチボールをした時に、すごくいいストレートを投げていましたから、あとは経験を積むだけだと思います」と才能を評価する。

 6月14日の1軍昇格後、主に勝ちパターンで登板した9試合連続して無失点。7月20日のロッテ戦(ZOZOマリン)で初めて失点したが、後半戦もセットアッパーとしての期待がかかる。「頑張って腕を振ることしか考えていません」。いつも通り、強い言葉で締めくくった。

〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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