山本由伸が米国で得た“気づき”「大切なんだなと」 大谷らナインにイジられた裏側

山本由伸、約1か月ぶりの9勝に“隠された”努力の数々
【MLB】ドジャース 5ー2 レッズ(日本時間29日・シンシナティ)
予想外の雨に汗が止まらない高湿、記念撮影“欠席”に長時間のフライト移動、そして言葉の壁……。多くの“難敵”を通り越した9勝目だった。ドジャースの山本由伸投手が28日(日本時間29日)、敵地でのレッズ戦に先発し、7回4安打1失点の力投で今季9勝目を挙げた。約1か月ぶりの白星は、幾多の困難を乗り越えた“賜物”だった。
前日27日(同28日)の調整では雨が降りしきる中、フェンウェイパークでキャッチボールを行った。ダッシュやストレッチで最終調整を終えると、雨具を装着しながらスタンドでエールを送ってくれたファンへのサイン対応にも足を運んだ。登板前日のフライト移動も苦にすることなく、シンシナティに登板前日の深夜入り。試合当日、高湿の中でびっしょりと拭った汗が輝いたのには理由がある。
第一優先事項は「睡眠」と設定している。「アメリカに来て、移動時間も長くなって気がついたことがあるんですけど、やっぱり睡眠時間って大切なんだなと思っています。起きた時の感覚が違うし、なにより見え方も違う日がある。それに……。疲れていると英語が全く頭に入ってこない時があるんです」。いつになく、ハキハキと言葉を前に出して力説した。
そんな山本が自身の優先事項を守った行動がある。自身初のMLB球宴に参加した7月だが、記念撮影を“欠席”してしまった。レッドカーペットを歩き終えて“衣装”を脱ぐと、眠気が襲ってきた。「時間が少し空いたので、一旦、ホテルに戻ったんです」。すると、突然の大雨が降ってきた。思わぬ天候不良によって、練習時間や記念撮影の時間が変更。記念すべき1枚を撮ったシャッター音が鳴った際、山本は移動の車中だった。
記念撮影を逃したが、あくまでも照準は“本番”。「眠気が来た時は、しっかり寝ること。睡眠を取らずに動ける方もいると思いますけど、僕としては体を休めることで最大限にパフォーマンスが発揮できると思っています」。
ただ、目を瞑るよりも大切な時間があることも理解している。円滑にコミュニケーションを取るために、メジャー移籍2年目も英会話のメニューを欠かさない。この日にバッテリーを組んだラッシングとは、ロサンゼルスからボストンへの移動フライト中に深い話をした。配球面にコミュニケーションが生きており「バッターが混乱しているというか。裏をかいたりできていたので面白かったです」と充実の表情だった。
ボストンではオリックス時代の先輩にあたる、レッドソックス・吉田正尚外野手とも再会。「なんて言うんだろう……。マサさんはあんな感じというか。いつも通りで全く変わってなくて嬉しかったです」。いつ会っても好青年。約1か月ぶりの勝利を掴んだ快投には、グラウンド内外でのバランスの良さが滲みでていた。
(真柴健 / Ken Mashiba)