不振の山田哲人が頼った新庄監督 接点なしも…“がむしゃら”に探した浮上への光

山田の6号先制ソロは池山2軍監督を抜く球団最多の305本塁打となった
■ヤクルト 2ー1 DeNA(30日・横浜)
ヤクルトの山田哲人内野手が30日、横浜スタジアムで行われたDeNA戦で先制の6号ソロを放ち、池山隆寛(現2軍監督)を抜く球団最多の通算305本塁打となった。近年は不振に苦しみながらも、這い上がるために必死の日々。接点がない日本ハムの新庄剛志監督にアドバイスをもらったこともあった。
かつて“天才”と言われ、数々の栄光を手にした男が苦しんでいた。プロ15年目、16日には33歳になり、成績は年々下降線をたどった。「いろいろな意見があったら聞き入れる態勢は取ろうと思って」。自分を貫くことも大事なことだが、柔軟に周囲の声にも耳を傾けた。
その象徴ともいえる出来事が、交流戦中にあった。6月10~12日にエスコンフィールドで行われた日本ハム戦でのこと。ヤクルト時代の兄貴分で現在は日本ハム内野守備走塁コーチを務める谷内亮太氏から、新庄監督が山田の打撃について話していたことを聞いた。「『もっとボス(新庄監督)に聞いてみたら?』みたいな感じで言われたので。良くなるためのアドバイスを、やっちー(谷内)を通じて答えをもらったって感じです」。
その中身は、タイミングの取り方や右手の使い方などだった。「自分でもそう感じていたことを言ってもらえました」とすんなり受け入れた。次のカードだったロッテ戦。初戦に3打数3安打で1割台だった打率を2割台に戻すと、第2戦では約1か月ぶりのアーチを放った。谷内を通じて「ナイスバッティング」との祝福も届き、「ロッテ戦も見てくれていたみたい。ありがたいですね」と感謝した。
新庄監督といえば、シーズン中も他球団の選手にも積極的にアドバイスを送ることで有名。球界を盛り上げるためには敵だろうと惜しむこはない。とはいえ全く接したことのなかった山田が助言を仰ぐのは、なかなか珍しいことだろう。それほどまでにがむしゃらに、浮上への光を探していた。
チームも8連勝とようやく上り調子となり、8月の戦いに突入する。山田自身もまだまだ巻き返すチャンスはある。主将が力強く描いた放物線が、その号砲となる。